あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2017年の新刊
「2017年の新刊」

2017年の新刊は、『ポケット版 身近な昆虫さんぽ手帖』(世界文化社)でした。
2018年の出版は、1冊は決まっており、あともう1冊出せるかどうか・・・
というところで、発売が決まりましたら当ブログでお知らせしますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

さて、昨年末最後の記事で、明日はフィールドに出ます、と書きましたが、
12月30日に、5人の虫仲間と神奈川県まで行ってきました。
ひとつ前の12月9日時点より足腰の状態は良く、足取りも比較的普通です。
このまま順調に良くなってくれるといいのですが。

雑木林を行く
「雑木林を行く」

3時を過ぎると、あっという間に高度を下げていく12月の太陽。
強い光がレンズ内を踊るように駈け抜けていき、不思議な形のゴーストが出現しました。
異世界への入口に消えていくように見える仲間のうしろ姿にも、
今ひとつ現実感が感じられません。

ヤドリギ
「ヤドリギ」

ふり返れば、高い梢にはヤドリギが見えます。
夕方の時間帯でなければ、もう少し鮮やかなグリーンをお見せできたかもしれません。

木製の手すりに、不思議な形の虫がいました。
クチナガオオアブラムシの仲間の有翅タイプでしょう。
お尻から出ているように見えるのは口で、「頭の部分から下向きに生えている
セミのような口吻が、おなかの下を通り抜けてさらにお尻からはみ出している」
という構図です。つまり体長よりもずっと長い口を持っている、というわけ。

クチナガオオアブラムシの仲間(有翅タイプ)
「クチナガオオアブラムシの仲間(有翅タイプ)」

この日のお目当ては、フユシャクという、冬にだけ現れる地味な蛾。
シャクトリムシの成虫で、「冬尺」の尺の部分は「尺取虫」の尺です。
フユシャクという名前はグループの総称で、日本に35種いますが、
全種類の写真撮影に成功された方は、日本に2人しかいません。
きわめて限られた地域にしかいないものや、何十年も前から記録が
途絶えていたもの(一昨年、再発見されました)など、
全種撮影は非常に困難なもので、誰にでもできることではありません。

しかし、よい発生地を見つければ、市街地に隣接した公園や雑木林でも、
ひと晩に10種程度が見られることはあります。

完全に日が暮れると、1匹、また1匹とフユシャクが飛び始めました。
ライトの光芒に、音もなく闇を舞う小さな蛾の姿が浮かび上がります。
飛べるのはオスだけで、メスには翅がないか、あっても痕跡的なもので、
オスが闇の中を飛び回って、どこかで待っているはずのメスを探します。

樹皮で交尾するナミスジフユナミシャク(上がメス)
「樹皮で交尾するナミスジフユナミシャク(上がメス)」

生きものの気配も感じられないような真冬の雑木林で、
ぶじに相手を見つけることができた ナミスジフユナミシャクのカップル。
上がメスです。翅は痕跡的なもので、この角度からははっきり見えません。
冬の夜に愛し合う変温動物のカップルは、お互いを温め合うことはできませんが、
見ているこちらを、ほっこり温かい気持ちにさせてくれます。

この晩は結局、10種見ることはできなかったものの、
7種のフユシャクたちに会うことができました。
これだけでも、日本産フユシャクの2割に会えたことになりますね。

12月30日に出会ったフユシャクたち
「12月30日に出会ったフユシャクたち」

左上から時計回りに、ナミスジフユナミシャクのオス、ウスモンフユシャクのオス、
シロオビフユシャクのメス、そしてシロオビフユシャクのオス。
このほか、チャバネフユエダシャク、ウスバフユシャク、クロテンフユシャク、
シモフリトゲエダシャクが姿を見せてくれました。

これからしばらくの間、ぼくのフィールドワークは冬眠期間に突入し、
本の制作のデスクワーク中心の生活になります。
その間に、きっと体も回復するでしょう。
ぜひ、そうあってほしいものです。
 何人かの方にはご心配いただき、
それよりいくぶん多くの方からは笑われた頭皮の医療用ホチキスもぶじ外れ、
何とか社会復帰しました。 ぼくの周囲のツッコミキャラの方々は、
ぼくがボケてもしばらくは頭をはたかないようにお願いします。
「その部分、ハゲるかもしれませんよ」と言われており、心が半分折れています。

足腰の痛みの方は相変わらずで、
明日の30日こそ、気力を振り絞ってフィールドへ出てみたいと思いますが、
11、12月の野外撮影は、明日を含め、たった2日間のみで終りそうです。

5月発売予定の本の準備や、ほかの作家の方が出版される本の解説執筆など、
撮影以外の仕事があるから救われているようなものの、何もなかったら、
余生を過ごすおじいちゃんのような年末を迎えていたことでしょう。

 12月22日の病院からの帰り道、コンパクトカメラで撮った写真です。

青々と葉を繁らせるプラタナス
「青々と葉を繁らせるプラタナス」

温暖化の影響でしょうか。12月の光景とは思えません。
プラタナスが青々と葉を繁らせ、まるで初夏のようです。

一方、ヤツデの花が満開で、こちらはまさしくカレンダー通りの光景。

満開のヤツデ
「満開のヤツデ」

11~12月に花を咲かせるヤツデは、冬に活動する虫たちの貴重な吸蜜源で、
気温が上がる午後には、けっこうな数の虫たちが花を訪れます。

セイヨウミツバチと数匹のハエが来ていましたが、残念ながら種類は不明。

ヤツデを訪れるセイヨウミツバチ(左上)とハエ
「ヤツデを訪れるセイヨウミツバチ(左上)とハエ」

右下はツマグロキンバエに見えますが、
多くの図鑑に成虫出現期は10月まで、と書かれています。
別種なのか、それともツマグロキンバエでよいのか?

ミツバチとハエの写真はいずれも、コンパクトカメラのストロボ発光部を
指で半分覆い隠すようにして露出オーバーを防ぐ、というアナログな撮り方ですが、
ずっと同じ機種を使っていると、こんな撮り方にもすっかり慣れてしまいました。
カシオのEX-ZR100という古い機種で、もう入手できません。

 ぼくはこの機種が好きで、3台持っていますが、
最後に買った3台目は、カメラの値段としては破格の1万7千円でした。
この機種で撮った写真を、一眼レフで撮った写真に混ぜて本で使ってきましたが、
少しも見劣りしません。カシオの現行機種で欲しいカメラは1台もないので、
まったく偶然できた名機なのでしょう。
昆虫は被写体としてメインストリームではないので、高級機や最新機種が
よいとは限らず、偶然できた名機を「まとめ買い」しておくしかありません。

2010年発売のニコンD7000も6台持っていますが、これが今もぼくの主力機です。
製造中止後に、5台目と6台目は4万円台で買いましたから、
これもカメラマンの主力機としては破格値ですね。
ニコンの現行機種は60万円台のD5といえどもぼくの仕事には全然使えないもので、
4万円台の機種に到底かなわないわけですから、皮肉なものです。

「人間」、「風景」、「スポーツ」を撮るなら新しい機種の方が断然よいことは明白で、
カメラメーカーは基本的に、この3つ以外の被写体にはほとんど配慮していません。
昆虫に興味を持つ人が多数派にならず、被写体として昆虫がメインストリームに
なっていかないというのは、昆虫を撮るカメラマンの責任ですから、
カメラメーカーを責めるのも筋ちがいでしょう。

ぼくがもっとがんばって、どこの街角でも
「今年ギフチョウ撮った?」、
「フチグロトゲエダシャク撮りそこねた~!」、
「見て見て! マダラアシナガバエって、インスタバエするよね~!」
なんていう会話が交わされるようになれば、カメラメーカーも本腰を入れて、
昆虫撮影にふさわしいカメラを続々と出してくるのでしょう。
カメラメーカーの人に会うたびに愚痴っていても仕方がないので、
本当にもっとがんばらないといけません。

明日は夜の撮影です。
気温がマイナスになりませんように。

みなさまにおかれましては、お健やかによいお年をお迎えください。
 前回の記事で、「明日は10月以来のフィールドに出かけてみることにします」
と書きましたが、12月9日に、3人の虫仲間と冬の里山散策を楽しんできました。

もう帰る頃になって、ぼくが頭をケガしてしまい、救急車で搬送されるという
不測の事態がありましたが、出血が激しかっただけで、深い傷ではなかったようです。
とはいえ、今も「医療用ホチキス」というもので頭皮の傷口を縫合しており、
「貴ノ岩/傷」で検索すると、これとそっくりの画像が見られます。

 近年は、「へそピアス」をしている人もいるぐらいですから、
「頭ホチキス」というのも、開き直って堂々としていれば、
ファッションでやっているように見えないかな? と思いましたが、
こんなオッサンでは、どうも全然ダメみたいですね。
知り合いの若者の前でニット帽を脱ぎ、「これ、どう?」と訊いたら、
「森上さんの脳みそは、ハリ治療ぐらいじゃ治らないっすよ」と
ものすごくトンチンカンな反応をされてしまい、
ファッションの一環と誤認させるつもりが、誤認の方向性がまるで違うので、
ぼくからおしゃれ要素は1ミリも感じられないんだな、と悲しくなりました。
どんなに高性能の医療用ホチキスも、心の傷には無力です。

 さて、冬晴れの里山は、澄んだ空気のおかげで、遠くまでくっきりと見え、
風景の写真を撮るために訪れている人も何人か見かけました。

初冬の里山風景
「初冬の里山風景」

 前回のブログ記事で、夏のケガの後遺症で足腰が痛いと書きましたが、
比較的平坦な里山とはいえ、みんなの後をついていくだけで精一杯です。
もともとぼくは、ひとつの場面の撮影に時間をかける方でもあり、
みんなに見つけてもらった虫を、あとから追いついて撮るだけという、
何とも申しわけない状態。このあと救急車に同乗してもらったことといい、
仲間の足を引っ張っただけの1日でした。

ナカキシャチホコの幼虫
「ナカキシャチホコの幼虫」

 すっかり色づいたコナラの葉を食べていたナカキシャチホコの幼虫。
ここまで紅葉した葉っぱでも、ちゃんと食料になるというのは驚きです。
落葉前に、ぶじにさなぎになれるでしょうか。

ゴマダラチョウの若い幼虫
「ゴマダラチョウの若い幼虫」

 さらにわれわれを驚かせたのがこちら。
おそらく2齢ぐらいではないかと思われるゴマダラチョウ(たぶん)の幼虫。
「たぶん」と書いたのは、まだ若齢で、種の特徴が十分発現していないからですが、
尾端(尻の先)が完全に2つに割れているので、アカボシゴマダラではなさそうです。
すでに木を下りて、越冬態勢に入っていなければならない時期にこんな状態では、
おそらく越冬に成功することはないでしょう。
ゴマダラチョウは、関東平野では多くの場合4齢で越冬しますから、
この幼虫が2齢だとしたら、あと2度、脱皮しなければ越冬できる体になりません。
それまでには、エノキがすっかり葉を落としてしまうでしょう。

アオスジアゲハの越冬蛹
「アオスジアゲハの越冬蛹」

 シロダモの葉裏にあった、アオスジアゲハの蛹。
食樹から離れずに蛹化(ようか)したものは、寄生されている可能性が
高いと聞いたことがありますが、そのとおり、このさなぎを持ち帰った仲間から、
やはり寄生されていた、という後日談を聞きました。
越冬蛹の敵は、きびしい冬の寒さだけではありません。

モズのはやにえ - ニホントビナナフシ
「モズのはやにえ - ニホントビナナフシ」

 この里山にはモズのはやにえが非常に多く、これまでに見たことの
ないメニューが次々に見つかりました。このニホントビナナフシもそうで、
ついさっきまで生きていたかのような新鮮なものでした。
このあと、実際に生きているニホントビナナフシが見つかったので、
まだ活動している個体が少なからずいるのでしょう。
本種はこれまでにも、12月の里山で何度か姿を見ています。

モズのはやにえ - オオカマキリ
「モズのはやにえ - オオカマキリ」

 この日のハイライトはこちら。
オオカマキリのはやにえというのは、そうそう見つかるものではありません。
ぼくも今回の遭遇が初めてです。
こんなものが見つかるとは思わず、広角レンズを持参しなかったことを後悔しましたが、
コンパクトカメラでも、何とか季節感のある背景とともに撮ることができました。
ぼくは2013年に、あかね書房から『オオカマキリ-狩りをする昆虫』という本を
出しましたが、その中に、オオカマキリの命を脅かすものを紹介するページがあります。
寄生虫や輪禍、虫カビ、クモやネコに捕食される場面まで撮りましたが、
モズによるはやにえは、撮りたくて、しかしどうしても撮れなかったものでした。
なかなか思うようにピントが合わないコンパクトカメラに、
その時の口惜しさも手伝って、相当な枚数を撮りましたが、
ぼくを置いて行かずに待っていてくれた仲間に感謝です。

天気がよいのに、今日も本づくりの準備で「内勤」ですが、
あちこちの体の不具合から一刻も早く回復して、
またフィールドを駆け回りたいものです。

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『オオカマキリ-狩りをする昆虫』(あかね書房)
(厚生労働省社会保障審議会推薦図書、
全国学校図書館協議会選定基本図書、日本図書館協議会選定図書)
https://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251067159
 非常にアップダウンの激しい11月で、毎日が落ちつかず、
一度もブログを更新できないまま12月を迎えてしまいました。
実は夏に山でケガをしていたのですが、その後遺症に苦しみ、
そんな中で、出版社に持ち込んでいた出版企画が通ったという知らせを受け、
日本昆虫協会の「夏休み昆虫研究大賞」の表彰式で昆虫少年少女たちと
すばらしい時間を過ごした日の晩に、大好きなおじが急逝するという
ショッキングなことがあり、しばらく脱力しておりました。

 ケガをしたのは背骨の部分ですが、受傷直後の足のしびれから始まり、
ここへきて腰と股関節に激しい痛みが加わって、「当面は重いものを持つのは禁止です」
と主治医に言われてカメラバッグを背負うことができません。
「直りますから、安心してください。昆虫のシーズンオフで良かったですね」
と言っていただいているので、今はどんなに痛くても悲観的になることはない、
と自分に言い聞かせています。
そんなわけで、11月は一眼レフを手にする機会もなく、
通りすがりのコンデジ・カットが数点、残ったのみでした。

アオスジアゲハの日光浴?
「アオスジアゲハの日光浴?」

もう1ヶ月も前になりますが、11月6日に撮影した写真です。
秋も深まりゆく中、まだ羽化して間がないと思われる新鮮なアオスジアゲハが
視界を横切ったので、その姿をしばらく目で追っていました。
シャリンバイに止まったあと、徐々にはねを閉じていき、最後はすっかり横倒しに
なりました。アオスジアゲハが活動するには気温が十分ではない季節ですから、
これはおそらく日光浴なのでしょう。チョウの日光浴スタイルには、
はねを全開にするものと、はねを閉じた状態で横倒しになるものとがありますが、
アゲハチョウ科は前者だけだと思っていました。そもそも、横倒しになって日光浴を
するチョウは、コツバメやスジボソヤマキチョウなど、ごく少数派です。
アオスジアゲハのこんな姿を初めて見ました。

駅にいたクビキリギス
「駅にいたクビキリギス」

大型のバッタ・キリギリス類としては、例外的に成虫の姿で越冬する昆虫です。
11月9日に、最寄り駅の壁に止まっていました。
繁殖シーズンは春ですが、秋にも鳴いている姿を見かけることがあります。
鳴くということは求愛のサインですから、秋のうちにも交尾するものが
いるのかもしれません。
このまま放っておくと、駅構内で死ぬかもしれないので、とらえて草地に放しました。
厳しい冬を乗り切り、ぶじに春を迎えてもらいたいものです。

東京都庁展望台からの夜景
「東京都庁展望台からの夜景」

 12月6日はカメラメーカーの忘年会に参加。
都庁第一本庁舎の45階にある展望台を貸切りにする、という豪勢なパーティーでした。
プロユーザーだけの忘年会なので、多くの写真家の近況を知ることができ、
直近の出版企画などの情報交換もできました。
眼下に広がる東京の夜景を眺めながら、自分もがんばらねば・・・と
気持ちを新たにして新宿の街をあとにしました。

明日は、いつものカメラバッグを持たず、ボディ1台だけで、
おそるおそる10月以来のフィールドに出かけてみることにします。
 台風21号で大荒れだった日曜日、日本昆虫協会による「夏休み昆虫研究大賞」
の審査にゲスト審査員として参加してきました。小中学生による応募で、
昆虫を素材にした(1)研究論文、(2)標本、(3)写真、(4)美術、(5)文学 
という5つのジャンルで賞を競うものです。全ジャンルの中から、大賞が1点だけ
選ばれますが、今年は大賞にふさわしい作品が5点もある水準の高さで、
なかなか大賞が決まりませんでした。ぼくは、お一人の方(小学生)へ
審査員特別賞を出しましたので、来月の表彰式でお会いできるのが楽しみです。

 さて、樹木図鑑作家の林 将之さんから、
すばらしい新刊を送っていただきましたので、ご紹介したいと思います。
『秋の樹木図鑑 (紅葉・実・どんぐりで見分ける400種)』(廣済堂出版)。

『秋の樹木図鑑 (紅葉・実・どんぐりで見分ける400種)』
『秋の樹木図鑑 (紅葉・実・どんぐりで見分ける400種)』

相変わらずの美しいスキャン画像に加えて、名前のわからない樹種を調べる際に、
目的のページへ誘導するさまざまな工夫がなされており、「葉形インデックス」や
「紅葉・黄葉一覧表」、「果実・どんぐり・松かさ一覧表」のいずれかを使うことで、
ものによっては数秒でお目当ての樹種にたどりつけてしまいます。
「紅葉・黄葉一覧表」などは、眺めているだけでもしあわせな気持ちになれる、
非常に美しいページです。

ぼくはプラタナス類にはかなり詳しいので、プラタナスのページがあれば、
そこを見ることで、植物図鑑の評価がしやすいのですが、
・身近に見られる「プラタナス類」には3種類あること。
 その出自や原産地についての解説。
・その3種類の見分け方を、葉と樹皮、果実(集合果)のつき方の
 それぞれのパーツで解説していること。
・プラタナスの和訳=スズカケノキではなく、
 この呼称がグループの総称であるとハッキリ書かれていること。
・「プラタナス類」は街路樹として、かつては第3位の人気を誇っていたが、
 最近は第10位まで順位を下げていること。
などなど、文句のつけようのない情報量を誇っています(ぼくも、順位を
下げているのは知っていましたが、10位まで落ちているとは知らなかった)。

また、本書ならではの情報として、すべての学名にカタカナでルビが振ってある
というきめ細かな配慮がなされている点が挙げられます。ラテン語の学名は、
ローマ字読みに近いものではあるのですが、大学で分類学に触れる機会のなかった
ぼくのような文系学部出身者は、(本当にこの読みで合ってるか?)と
おそるおそる口にしているという現状がありますが、
こういう本が虫の図鑑でも存在すれば、ラテン語のこの綴りはこう読むのだ、
という反復訓練のまたとない教科書になりますね。
この学名のルビだけでも、植物をこれから学びたい人にとっては、
本書を入手する価値があると思います。

林 将之さんの才能は非常にマルチなもので、
この本には「樹木図鑑作家」と書かれているのでその通りご紹介しましたが、
学者であり、写真家であり、また誌面デザイナーでもあります。
誌面デザインまで自分でやる人は非常に珍しいと思いますが、
「一応できます」というレベルではなく、専業の誌面デザイナーと比較しても
相当に上手いほうで、この点は心から敬服しています。

2007年に、林さんと共著で、
『昆虫の食草・食樹ハンドブック』(文一総合出版)を出版しましたが、
この本のデザインも、表紙から中身まで、すべて林さんの手によるものです。
ちょうど10年前、本書の印刷に立ち会ったあと、当時印刷会社のあった
戸田公園駅の駅前で、二人で打ち上げをしたのをなつかしく思い出します。

…というわけで、『昆虫の食草・食樹ハンドブック』のほうも、
引きつづきどうぞよろしくお願いいたします(笑)。

『昆虫の食草・食樹ハンドブック』(文一総合出版)森上信夫・林 将之著
『昆虫の食草・食樹ハンドブック』(文一総合出版)森上信夫・林 将之著