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 5月28日(土)~29日(日)にかけて、さいたま市内で行われた
徹夜のライトトラップ調査会に参加してきました。
といっても、ちゃんと調査を行う数名以外は、ぼくも含め、単なる「やじ馬」です。
設置のお手伝いを終えたら、あとは、のんびりと見物しているだけ。

この調査会への参加は、ぼくは昨年の9月以来ということになりますが、
毎月1回行われている継続調査ですから、真冬でも、夜の森で1泊している人が
いるわけですね。今回、5月下旬でもけっこう体が冷えたというのに、
これを2月にやっているメンバーはすごいなと、心から敬服します。

今回のライトトラップ機材は、充実の4基。
1基だけの時もありますが、4基ともなると、森のあちこちに配置でき、
夜どおし巡回して観察できる楽しみがあります。

その1:ライトトラップのスタンダード版
「その1:ライトトラップのスタンダード版」

まずは、Mさん設置の、伝統的なライトトラップ。
ライトトラップと聞いて、最初に思いうかべるのは、このイメージです。
幕の表・裏いずれにも虫が集まり、2方向からの飛来が期待できます。
青紫色に見える暗いライトは、紫外線を出すブラックライト。
これだけでも虫は集まりますが、白い光の蛍光管が添えられているのは、
むしろ観察する人間のためのもの。
ブラックライトだけでは、虫が集まってきても、その光景を見ることができません。

その2:吊り下げ式のライトトラップ
「その2:吊り下げ式のライトトラップ」

こちらは、Kさんオリジナルの吊り下げ式。
かさばる支柱がなく、いつでも車に積んでおけるのがよいところです。
自立はせず、通常は木の枝などを利用しますが、
この緑地には、うまい具合に遊具があるので、ブランコを利用しています。
それにしても、離れて見ると、何とも怪しい光景ですねぇ(笑)。
「あとはミラーボールがあれば完璧だねえ・・・」と誰かが言っていましたが、
本当にそんな感じです。 何がどう「完璧」なのかは、ぼくも説明できませんけど・・・。

その3:通称「電気クラゲ」
「その3:通称「電気クラゲ」」

オリジナル機材としては、日本で最も有名なライトトラップのひとつ、
日本蛾類学会の飯森政宏さんによる、通称「電気クラゲ」です。
強力な誘導灯が、触手のように森の中に光を伸ばし、
吸いよせられるように飛んできた虫たちが、本体の灯りに引きよせられて、
レース状の幕と傘に着地するという仕組み。

「集客力」は抜群で、虫も、人も、このクラゲの周辺にいそいそと集まってきます。
その「銀幕の誘惑」には、誰もさからうことができません。
これまでにも数々の「初記録」をたたき出してきた魔法のライトですが、
今回も、まさかと思われるような埼玉県初記録の美しい蛾が飛来しました。

初記録の詳細は、ここでは語ることができませんが、
夜も更けて、おびただしい数の蛾が幕を埋めつくすようになりました。

銀幕のにぎわい
「銀幕のにぎわい」

なじみのお客さん ↓ にも、けっこうな大物が。

ライトに集まった蛾たち
「ライトに集まった蛾たち」

左上から時計回りに、セスジナミシャク、スカシノメイガ、ウチスズメ、
ハガタベニコケガ、クロシタアオイラガ、キエダシャク。

ウンモンスズメ祭り
「ウンモンスズメ祭り」

ウンモンスズメは、ちょうど新成虫の羽化時期だったのでしょうか。
新鮮な個体が次々に飛来して、参加者の目を楽しませてくれました。

彼こそ「ゲニの極み」だ
「彼こそ「ゲニの極み」だ」

「電気クラゲ」の下で、一心不乱に細かい作業をする男。
彼こそ、以前このブログで紹介した「ゲニの極み」こと、
日本蛾類学会の阪本優介さんです。

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別種発見の「初動捜査」としては、生殖器の形状比較は、きわめて有効な手段です。
専門家は交尾器を「ゲニタリア」(略してゲニ)と呼び、
解剖によりゲニを取り出すことを、俗に「ゲニを抜く」などと言います。
ゲニを抜く作業には、熟練の外科医のような手際が求められますが、
その友人の研究者は神業的な技術を持ち、在野にいながらめざましい発見を次々に
成し遂げていることから、ぼくは彼を「ゲニの極み」と呼んで奉っています(笑)。
http://moriuenobuo.blog.fc2.com/blog-entry-91.html
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3月13日のブログには、このように書きましたが、飛来した昆虫(今回は蛾ではなく、
おもに微小甲虫)を採集し、その場でゲニを抜き、正確な種名同定を行っているところです。
機材がそろった研究室ではなく、地べたでこんなことができる人が、
日本に何人いるでしょうか。 3ミリの昆虫のゲニは、1ミリにも満たないのです。
息をしただけでも飛んでいってしまいそうな微小器官を取り出し、
それを既知の種のものと即座に頭の中で照合する技術と知識は、人間わざとは思えません。
一連の作業を全てナマで見ることができ、ぼくはすっかり感動してしまいました。
これを見られただけでも、調査会に参加した意義があったというものです。

この日の月齢
「この日の月齢」

第4のライトトラップを見るために、しばし「電気クラゲ」のもとを離れることにします。
月が顔を出しており、一本道を迷うこともないはずです。
電池節約のため、ぼくはライトを消したまま森の中を進みました。
月光の届かない巨木の下にさしかかった時、何かが近づいてくる気配がしました。

(「銀幕の誘惑-2」に続きます)
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