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 大きなできごとが色々あり、前回の更新からずいぶん間が空いてしまいました。
すみません。

さて、昆虫写真家の中瀬 潤さんから新刊を2冊、送っていただきましたのでご紹介します。
岩崎書店 「うまれたよ!」 シリーズの、
『うまれたよ!ホタル』と、『うまれたよ!ボウフラ』です。

うまれたよ!ホタル

うまれたよ!ボウフラ
『中瀬 潤さんの新刊 2冊』

中瀬さんは、これまでにも同シリーズから、
『うまれたよ!コオロギ』や、『うまれたよ!テントウムシ』などを出版されていますが、
今回の2冊は、これまでにも増して、いっそうすばらしい内容に仕上がっています。

中瀬 潤さんといえば、お名前にも「さんずい」の漢字が多く、
「水に棲む虫を撮らせたら日本一」の昆虫写真家ですが、
ホタルの幼虫も、カの幼虫であるボウフラも、幼虫時代を水の中ですごす水生昆虫です。
それだけに、力のこもった作品には見ごたえがあり、
児童書というよりは写真集を見ているようです。

まず、『うまれたよ!ホタル』。
ゲンジボタルは、卵・幼虫・さなぎ・成虫と、すべてのステージで光りますが、
その微弱な光を掬い上げるためのカメラの設定が、闇の深さを損なうものであってはならず、
こんなふうに絶妙なバランスで撮影するのは大変むずかしいものです。
また、光の点や線だけでは、天地左右もわからない意味不明の写真になってしまいますから、
状況を説明するための、最低限の照明はどうしても使わなければなりません。
人工照明が闇を暴きすぎると、単なる説明写真になり、詩情は一気に失われます。
その点の描写が、この本は大変すばらしく、川岸の切り株で産卵する2匹のメスの写真や、
上陸した幼虫が、かすかに光りながら崖をのぼっていくシーンなどは、
闇の中で密やかに行われる営為として見事に描き出されており、
見ていて厳粛な気持ちにさせられます。
児童書に求められる理科的な要素は巻末にひとまとめにし、
本編の方は大きなストーリーとして描かれたことで、感動的な名作となっています。

次に、『うまれたよ!ボウフラ』。
このテーマで1冊の本を作られたということに、まず驚きました。
ホタルは万人に愛される昆虫ですが、ボウフラ(=カ)が好きな人なんて、
まずいないでしょう。
その上、あのデング熱騒動以来、目の敵にされているヒトスジシマカが
キャスティングされており、
ぼくはてっきり、中瀬さんは人気昆虫のホタルとバーターで、このテーマを
無理やり押しつけられたんではないか? と、本を開くまでは邪推していました(笑)。
ところが、「うまれたよ!」シリーズの1冊にふさわしく、読者が途中からボウフラに
好意的に感情移入してしまいそうな温かいまなざしで撮影されており、
こんなにほのぼのとしたボウフラの写真を、ぼくは見たことがありません。
中瀬さん、イヤじゃなかったんだな・・・ということは、本を開けばすぐにわかります。
さなぎになる直前の、

「うまれて 9日め。
ボウフラは、
むにゅむにゅ ぶしゅっと
へんな うんちを
たくさん だした」

「ぶるん。
その うんちを
いきおいよく ふりとばすと(後略)」

という文章が添えられている写真などは、ボウフラの愛らしさに悶絶(!)してしまいます。
このページは、ぜひとも一度、ご覧いただきたいと思います。

ヒトスジシマカの一生は、『小学館の図鑑NEO昆虫』では、ぼくが担当したので、
全ステージをひととおり撮ったことはあるのですが、
ぼくの写真には、つくづく 「愛が足りない」 と思いました。

今年は取材の折々に、対象がどんな昆虫であれ、
きょうは愛が足りていたか? ということを自問したいと思います。
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