年末にフユシャク探しに出かけたメンバーと一緒に、
神奈川県内の別の場所に、今年はじめての「フユシャク詣で」に出かけました。
3連休の初日の土曜日。渋滞を避けて、電車・バスで待ち合わせの場所へ向かいます。
前回の12月26日と比べると、かなり冷え込みのきびしい、真冬らしい日ですが、
発生が遅れていた種が出現しているかもしれません。

前回は三脚も持たない軽装でしたが、年も改まったので心を入れ替えて、
カメラバッグも本気モードのもの。三脚も持参です。
メンバーのひとり、昆虫写真家の尾園 暁さんも、
やはり年末には持っていなかった大きな三脚持参で、本気モードをうかがわせます(笑)。

フユシャクの観察は、夜がメインなので、午前中から探索を始めてしまうと、
こんなに寒い季節は、夜まで体力がもちません。 午後スタートで、
夕食タイムに一度体を温めてから、改めて夜の部に繰り出すことにします。

クロスジホソサジヨコバイ
「クロスジホソサジヨコバイ(通称:マエムキダマシ)」

まずは昼の部。
ヤツデがあったので、葉をめくると・・・。
やはりいました。クロスジホソサジヨコバイ。この写真では、頭が下を向いています。
お尻の方に2つの丸い紋を持ち、これが眼のように見えることから、
マエムキダマシ(前向き騙し)の通称があります。どちら側が体の前方であるか、
眼をねらって攻撃を加える捕食者を欺いているのでしょう。
知人のIさん(ボルネオに一緒に行ったIさんとは別人)が2005年頃につけた
名前ですが、それが通称として、ここまで世間に浸透するとは思いませんでした。

池のほとりで、鳥の撮影に来ている人が、カワセミがいるよと教えてくれました。
カメラを持っていると、鳥の撮影に来たものと思われることがよくありますね。
ぼくも真似をして、望遠レンズを取り出します。
本気モードのカメラバッグで来たので、450㎜相当の望遠レンズが入っています。

カワセミ
「ザリガニを捕えたカワセミ」

曇っていて、かなり暗かったので、カメラぶれしてしまいました。
上の写真は、ソフトを使ってシャープに見せていますが、本に印刷できるような
シロモノではありません。 単なる「証拠写真」になってしまいました。
池の柵には、ナミスジフユナミシャクのメスが止まっていましたが、これはスルー。
フユシャク観察では、最も見つけやすいもののひとつです。
ほかに何かいないか・・・と歩いていると、
Wさんが、鉄柵の下面に止まるニジュウシトリバを見つけてくれました。

ニジュウシトリバ
「鉄柵の下面にいたニジュウシトリバ」

蛾屋さん(蛾の愛好家)たちにとっては、ひどく珍しいものではないようですが、
ぼくは初めて見ました。ニジュウシトリバは、漢字では「二十四鳥羽」と書き、
鳥の羽のように見える24個のパーツ(左右12個ずつ)から
2枚の翅ができ上がっていることが名前の由来です。
羽ばたいても空気が抜けてしまって、普通に飛べないのでは?と思いますが、
「歩く蛾類図鑑」Sさんに訊いたら、そんなことはないそうです。
ぼくにとっては、昼の部の一番の収穫になりました。

夜の部は、尾園 暁さんの湘南のフィールドへ。
幸先よく、チャバネフユエダシャクのメスが見つかりました。
黄色い色がぬけてきた「虎ロープ」に止まっており、
カムフラージュ効果は抜群で、自分がいるべき場所を心得ているかのようです。
この白黒模様が乳牛のように見えることから、通称「ホルスタイン」と呼ばれ、
この名前をつけたのは、先ほどニジュウシトリバを見つけてくれたWさんです。
ネット時代は、「これはうまい!」というアッパレな呼び名は、
すぐに広まって定着しますね。「ホルスタイン」とは、実にうまいネーミングです。
ウスバフユシャクのオスや、交尾中のナミスジフユナミシャクも見られました。

フユシャク3種
「フユシャク3種」

真冬の夜間に行うフユシャクの観察は、夏以上に不審者そのものの行動で、
おまわりさんに見咎められても、昆虫観察であることが、なかなか信用してもらえません。
時には氷点下になるような条件ですから、昆虫などいないと考えるのが普通で、
決しておまわりさんが悪いわけではないのですが、複数で行動していると怪しさも減るので、
そういう意味からも、仲間で行動できるのは、ありがたいことです。
しかも、蛾の研究者として、在野では国内屈指のSさんとWさんがいて、
詳細な解説つきで回れるという豪華さは普通では味わえないもので、
寒さも忘れるような充実した時間を過ごすことができました。
ご案内いただいた尾園さんはじめ、みなさんありがとうございました。