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 ボルネオ紀行も、今回が最終回となりました
(次回、番外編を1本アップする予定ですが)。

今回の旅は、コタキナバル市内で合計3泊もしたのは失敗だったと思っています。
ここを2泊に留め、キナバル自然公園の方を3泊にすべきでした。
帰国前日はどうしても、安全をみて市内に戻っていたいという心理が働くのですが、
車で2時間程度の距離ならば、帰国当日までキナバルにいても、
朝のうちに山をあとにすれば、午後の飛行機にはじゅうぶん間に合うでしょう。

今なお、そうして後悔しているのは、キナバル自然公園の最終日が雨となってしまい、
この日に予定していた場所を、ほとんど回れなかったこと。
今回、キナバルで過ごした2泊3日のうち、まん中の1日は、
4人の虫仲間が二手に分かれ、ぼくとIさんは、キナバル自然公園を出て、
車で40分ほどの「ポーリン温泉」に向かいました。
別に温泉に浸かりたかったわけではなく、ここに行けばビワハゴロモとラフレシアが
見られる可能性がある、ということで、もし、キナバルの最終日が雨になれば、
こちらは不完全燃焼に終るかもしれないことを承知の上で、いわば賭けに出たわけです。

ポーリン温泉
「ポーリン温泉」

結局、キナバル最終日が雨になったことで、その賭けには敗れた格好ですが、
キナバルに残った2人に聞くところによれば、この日も相当激しい雨が降ったらしく、
そうであれば天候に恵まれた分、ポーリン温泉行きは正解であったのかもしれません。
「キナバルでもう1泊していれば・・・」と後悔しきりなのは、
「雨天順延」のまったくきかない、タイトなスケジュールであったからですね。

ポーリン温泉は、戦時中に日本軍が掘り当てたという温泉で、
観光名所であるとともに、地元の人たちの憩いの場所にもなっているようです。
キナバル自然公園から、ここまでは車で1時間もかからないのに、
かなりの標高差があるようで、気温はまったく違います。
われわれは確かに南の島にいるのだな・・・ということを実感できる暑さで、
熱帯の直射日光がチリチリと肌を焦がします。

ラフレシアが近所で咲いているらしい、という情報を到着時に確認してあったので、
これはあとで案内してもらうことにして、まずは、ビワハゴロモを探します。

コロギスの仲間と、それを見つけた場所
「コロギスの仲間と、それを見つけた場所」

最初に発見したのはコロギス。
日本のコロギスならば、日中は、葉をつづり合わせた巣の中に潜んでいるものですが、
葉っぱの表面に堂々と止まっており、これにはビックリしました。
しばらくして、葉っぱに直射日光が当たるようになると、さすがにこれを嫌がり、
重なり合う2枚の葉のすき間に隠れました。
上の写真は、その状態から、上の葉をそっと持ち上げて撮ったものです。
隠れる際にはこうして長い触角をループ状にまとめ、
なるべく外に飛び出さない工夫をするのでしょう。

卵のうを守っていたカマキリ
「卵のうを守っていたカマキリ」

次に、コロギスのすぐそばの葉裏で、卵のうとともに細身のカマキリが見つかりました。
おそらく、自分で産んだ卵のうを保護しているのでしょう。
ぼくに気づき、落ちつかないそぶりを見せますが、卵のうから離れようとはしません。

ここへ来る時に使ったタクシーには、すでに往復分の支払いを済ませてあり、
迎えに来てもらう時間を約束してあったので、
ラフレシアを見に行く時間も考えると、ビワハゴロモを探す時間は、残りわずかです。
見つけられないまま時間だけが過ぎていき、だんだん焦ってきました。

仲間うちでは、目的の昆虫をあまりにもたやすく発見することから、
昆虫の召喚能力があるにちがいない、と噂されるIさんと行動をともにしたのは、
その神がかり的な能力を、これまでに何度も見せつけられているからですが、
国境を越えてなお、その超自然的な(?)力が有効かどうかはわかりません。

ラフレシアを取るか。
それとも、ラフレシアを諦めてでも、ギリギリまでビワハゴロモを探すか。
あと15分以内には決めないと、自動的にラフレシアは諦めざるを得なくなります。

「いたよ~!」
と遠くから呼ぶIさんの声に、一気にテンションが上がり、
何度かコケそうになりながら、全速力で駆けつけます。
います、います! 本当に、樹皮に大きなビワハゴロモが止まっていました。
さすがはIさん。その摩訶不思議な昆虫召喚力は、ワールドワイドで有効です。

ビワハゴロモ(Pyrops whiteheadi)
「ビワハゴロモ(Pyrops whiteheadi)」

大きさは、5センチほどもあるでしょうか。
1センチにも満たないような日本のハゴロモ類を見慣れていると、
これはもう、規格外の大きさと言ってよいでしょう。
明らかにぼくを警戒しており、ヨコバイのように樹皮を回り込んで、
視線の届かない裏側に隠れようとします。
おそらく最初で最後のチャンスになるはずです。絶対に逃がさないようにしなければ・・・。
ポーリン温泉の観光客の動線から、手を伸ばせばすぐに届くような木におり、
観光客からの干渉も気になります。

「何がいるのか?」、「その虫は何だ?」などと言っているのでしょう。
各国の言語で口々に話しかけてくる大勢の観光客を背中で拒絶しながら、
必死でビワハゴロモを撮影しようとします。
何とか、(よし、撮れた!)と思った瞬間、ビワハゴロモは、びゅん!と飛び立って、
視界から消えました。(間に合ってよかった・・・)、と胸をなでおろします。
Iさんは、まだ自分の撮影が十分でない中、ぼくにチャンスを譲ってくれた格好です。
発見のお手柄といい、これはぜひ、帰国したらご馳走しなければなりません。

いよいよ、残すはラフレシアだけです。
開花情報を教えてくれた青年を大急ぎで見つけ出し、案内を頼みました。
タクシーとの約束の時間まで、あと15分ほどしかありませんが、
「近いので大丈夫!」と笑います。
ポーリン温泉の敷地を出る際に、ちょうど到着したタクシーの運転手に会うことができ、
「ウイGo toラフレシアWatching、ここで待ってて、Back soonね!」
と言えたので、少し安心しました。
ブロークンにもほどがある、というか、何それ? と、Iさんは呆れていましたが、
ラフレシア案内の青年が口添えしてくれたので、何とか運転手に通じたようです。

ラフレシアは、個人の敷地内にあるということで、そのお宅に30リンギット(約千円)
の謝礼を払い、庭を抜けてバナナ園を通りすぎ、ジャングルの入口に到着しました。
景観の変化こそ目まぐるしいものの、確かに、わずか数分の距離です。

ラフレシア・ケイティ(開花4日目/8日目/つぼみ)
「ラフレシア・ケイティ(開花4日目/8日目/つぼみ)」

おお! これがラフレシアか。
写真や映像で何度も見てきた、あこがれの巨大な花がそこにありました。
開花4日目で、写真に撮れるギリギリの段階だそうです。
周囲には、開花8日目だという、すっかり腐って原形をとどめない黒い塊と、
4ヶ月目を迎えたというつぼみもありました。数ヶ月~1年をかけてつぼみが成長し、
開花したら、花の命は1週間もたないそうです。

噂に聞いていた「異臭」は、一切しませんでしたが、
あとで調べてみると、スマトラ島などで見られる最大種のラフレシア・アーノルディ
(R.Arnordii)は腐ったような臭いがするものの、
ここボルネオ島のラフレシア・ケイティ(R. Keithii)は、臭わない種だそうです。
ちなみに、花の直径が最大1メートルにも達する「アーノルディ」と比べて、
この「ケイティ」は少し小ぶりで、大きくても80センチ程度とのこと。
確かに、ぼくらが見たものも、目測で70センチぐらいではないかなと思いました。

目的のものを2つとも見ることができ、タクシーにも奇跡的に遅刻せずに済みました。
走り出した車の中から遠くを見ると、キナバル方面には灰色の雲がかかっています。
ほどなく雨が落ちてきて、キナバル到着直後には、強いスコールとなりました。

つねに雨雲に追いかけられ、天候に恵まれた旅ではなかったものの、
旅の目標の8割程度は達したと言えるでしょうか。
雨に煙るキナバル山の山容を、いつの日か、懐かしく思い出すこともあるでしょう。
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