去年9月17日にアップした、「きみは、オナガミズアオ?」 の続編です。
ある森で得られる「謎の幼虫」は、一見オナガミズアオのようでいて、
重要な識別ポイントが、オナガミズアオのそれとは全く一致しない、と書きました。
http://moriuenobuo.blog.fc2.com/blog-entry-14.html

そして、

今度こそ、飼育下で羽化させて確かめる覚悟を決めたものの、なにしろ羽化は翌春です。
「オナガミズアオに間違いありませんでした」、とご報告できるのは、
まだまだ遠い先の話になりそうです。

と書きましたが、その「翌春」が訪れて、「謎の幼虫」は4月16日に羽化し、
実に、7ヶ月ぶりにオナガミズアオであることが判明しました。

オナガミズアオ♀(白バック)
「オナガミズアオ♀(白バック)」

前ばねの前縁のワインレッドの部分に注目すると、しっかりと白く縁どられており、
この縁どりが曖昧なオオミズアオとは、明らかにちがうことがわかります
(このほか、触角の色や、後ろばねの眼状紋の形も識別ポイントになります)。

オナガミズアオ・奇妙な止まり方
「オナガミズアオ・不思議な止まり方」

枝に止まらせてみると、実に不思議な止まり方をします。
多くのヤママユガ科は、はねをぺたっと開いて止まりますが、
はねを、打ち下ろすような形で前へ伸ばし、
両方の前ばねの先端が、今にもくっつきそうです。
灯りに飛んできて、壁に止まったオナガミズアオが、
オオミズアオと比べて、前ばねを著しく下げたスタイルを取りたがることは
知っていましたが、ただ下げたいというよりも、
本当は「打ち下ろす角度」を取りたいのだな、と思いました。
壁は2次元の世界ですから、壁に、はねをめり込ませない限り
打ち下ろす角度は取れないので、
よく見る姿は、彼らが本当にしたい姿勢とは、少しばかり異なるのでしょう。

オナガミズアオ♀
「オナガミズアオ♀」

刺激して、はねを開かせて撮影したカットです。
しかし、居心地が悪いのでしょう。ほどなく、はねを打ち下ろす角度にしてしまいます。
まるで「お行儀の悪いオオミズアオ」といった風情です。

それにしても、オオミズアオ幼虫との、最も安定した識別点とされている
「毛束つけ根の黒いリング紋」は、種間識別点としては機能しない、
ということに、おそらくなるのでしょう。
当ブログの読者の方からも、すでにそのような情報をいただいていましたが、
今後、自分で書く本では気をつけたいものです。

あと2つ、羽化を待っている繭がありますが、こちらはオオミズアオです。
6月に出す本に載せる写真を撮るために、じりじりしながら羽化を待っています。
1週間以内に羽化してくれないと、間に合わないでしょう。
すでにメスの写真でページが組まれているので、羽化しなくても本はできますが、
オオミズアオは、オスの方がずっと格好がよいので、
オスが羽化すれば、写真を差し替えたいと思っています。

ということで、羽化を期待していたのはオオミズアオの方であって、
オナガミズアオの姿を見たときは、「おまえか!」と叫んでしまいました。
「謎の幼虫は、やっぱりおまえ(オナガミズアオ)だったか!」が半分、
「3つも繭があって、ぜんぜん急いでいない、おまえが最初か!」が半分です。
このオナガミズアオにしてみれば、
「ずいぶんなごあいさつね」、といったところでしょうか・・・。