2015.01.01  謹賀新年
 あけましておめでとうございます。
本年も当ブログをご贔屓に、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、昨年9月1日のブログ開設以来、記事の先頭に表示し続けていた「ごあいさつ」を、
本日、過去記事へ移動させました。ブログ開設のいきさつなどが書かれておりますので、
初めてお越しの方で、ご興味のある方は、こちら をご覧ください。

 年末のある日、兄妹3人が実家に集まって、両親の遺品整理を行ないました。
両親が亡くなって何年か経ち、たくさんの遺品がのこされた実家を少しずつ片づけています。
兄妹が揃って片づけをするというのは、遺品に対する思い入れが、各々で異なるからです。
兄(ぼく)にとって、どうでもよいものが、妹たちにとっては、母を思い出させる
かけがえのない品であるということも少なからずあり、うっかり廃棄してしまうと
取り返しがつかないので、捨てる前に兄妹全員の目に触れるようにしています。

そんな中から、今回は、ぼくが書いた小学校時代の「夏休みの絵日記」が出てきました。
「1ねん7くみ もりうえのぶお」。
やはりと言うか、当時から、虫のことばかり書いています(笑)。
おかしくて、なつかしくて、なんだか涙が出てしまいました。
カメラに出会うずっと前の、昆虫写真家の幼い日々がそこに描かれています。

夏休みの絵日記-その1
「夏休みの絵日記 - その1」

最近は、「昆虫以上に、昆虫少年の方が絶滅危惧種になってしまった」とよく言われますが、
今どきの小学生は、昆虫に対してどう思っているのだろう・・・。すごく心配しています。
区立の小学校などに呼んでいただいて、特別授業をしたこともありますが、
担任の先生が「交通整理」をしなければならないほど活発に質問が飛び交い、
ぼくは時間の許すかぎり(質問がなくなるまで、何時間お答えしてもよいと思いましたが、
授業時間の都合もあったようです)、質問にお答えしましたが、情熱を持って昆虫の面白さを
語る人さえいれば、子供たちは今でも十分に興味を持ってくれるのではないか? と思います。
「ジャポニカ学習帳」の表紙に虫の写真が使われることを、保護者ならともかく、
先生が嫌がってクレームをつけてしまうような時代ですが、
「指導者に情熱があるかどうか?」 それは、すごく大事なことだという気がします。

ぼくなど、お話は少しも巧くないのですが、
「虫ってすごいだろう? ほら見てごらん! 信じられるかい、この姿?」という、
「おまえ自身が昆虫かよ!」と突っ込まれそうな「ドヤ顔」で語るので、
その情熱だけは、子供たちによく伝わるようです。
で、話のつたない部分は、子供たち自身が質問することで補ってくれると。

夏休みの絵日記-その2
「夏休みの絵日記 - その2」

遺品整理の中から出てくるものは、いわばタイムカプセルですね。
ぼく自身の過去のものも、たくさん出てきます。
面白かったのは、ここにはアップしませんが、高校の通信簿。
ぼくは高校で落第した経験があり、普通科の高校を4年かけて卒業しています。
病気で入院でもしたのかって? いえ、純粋に勉強ができなかったのです(笑)。
そんな中でも、現代国語と生物だけは、5段階評価の「5」という最高評価がついており、
たかが高校の成績とはいえ、「昆虫のお話を書く仕事には適性がある」、ということが、
当時から萌芽としてすでに読み取れた、と言ってよいのかもしれません。

では、どんな教科で落第したのか?
それは数学です。 夜おそく電話が鳴り、母がオロオロした声で、
「T先生ですか! いつもすみません! すぐ信夫に替わります」、と言って受話器をよこし、
担任の先生から落第を告げられた時のことを、今も鮮明に覚えています。
ぼくの出た高校は、ぼくが5期生(落第したので、卒業時は6期生)という新しい高校で、
落第生を出したことは、まだ一度もありませんでした。
電話口で、長い沈黙があった後、

「・・・森上な、先生、職員会議で一生懸命がんばったが、ダメだった・・・。
もう少し点を取ってくれていれば、何とか救えるチャンスもあったのだが・・・。
数学のテスト、一年間の平均点が何点だったか、自分で大体わかるか?」
「わかりません。」
「5.5点だ。」 ( ← 「ごじゅうご」ではなく、「ごーてんご」です。)
「! ・・・ええと、 じゅ・・・10点満点でしたっけ?」
「馬鹿っ!」

いま思えば、あの緊迫した場面で、よくもボケをかますことができたものだ、
と自分を褒めたい気もしますが、遅くまで進級の是非を決める職員会議で、
体を張ってぼくを守ろうとしてくださった先生にとっては、
「ボケとる場合か!」といった心境だったのでしょう。
大人になった今では、その苦々しい思いは察するに余りあります。

結果、「原級留置(げんきゅうとめおき = 正式には「落第」とか「留年」と言わずに、
こう呼ぶそうです)」という措置となり、ぼくは高校1年生を2回やるハメになりました。
ジャージや上履きなどの「学年カラー」が、「えんじ色」から「緑色」に変わり、
新たに一式を揃えなければならないことになりましたが、落第後の最初の体育の時間に
ジャージの「ズボン」だけが間に合わないという事態が起き、ジャージの上は「緑色」、
下は「えんじ色」という、情けない姿で臨んだことをよく覚えています(笑)。

校舎の2階の窓からは、「もと・同級生」たちの顔が校庭を見下ろしており、
情報は「拡散」して、バカ受けしているようです。
「おまえ、半分だけ2年生になったのかよ~!(笑)」
「昆虫の脱皮失敗か?(笑)」
などと、手荒な祝福? の言葉が2階から降りそそぎます。
「脱皮失敗」というのは、比喩としても非常に巧みで、実にうまいことを言うな・・・と
感心してしまいました。 感心している場合ではなかったと思いますが(笑)。

十代も半ばで、たくさんの持ち時間がまだ許された若き日の、そんな小さな挫折の数々は、
成長とともに、リカバリーのしようもありますが、
ぼくも50歳を過ぎ、やり直しのきかない年齢に差しかかっています。
過度に失敗を恐れるのも逆効果になりかねないので、按配の難しいところですが、
慎重でありつつも、冒険心を失わず、面白い仕事をしていきたいと思っています。
そんな「冒険作」の一つが、5月ごろに本となって出ます。
このブログでまた告知をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(※ 明日から1週間ほど、ブログをお休みします)