前回の記事で、「明日は10月以来のフィールドに出かけてみることにします」
と書きましたが、12月9日に、3人の虫仲間と冬の里山散策を楽しんできました。

もう帰る頃になって、ぼくが頭をケガしてしまい、救急車で搬送されるという
不測の事態がありましたが、出血が激しかっただけで、深い傷ではなかったようです。
とはいえ、今も「医療用ホチキス」というもので頭皮の傷口を縫合しており、
「貴ノ岩/傷」で検索すると、これとそっくりの画像が見られます。

 近年は、「へそピアス」をしている人もいるぐらいですから、
「頭ホチキス」というのも、開き直って堂々としていれば、
ファッションでやっているように見えないかな? と思いましたが、
こんなオッサンでは、どうも全然ダメみたいですね。
知り合いの若者の前でニット帽を脱ぎ、「これ、どう?」と訊いたら、
「森上さんの脳みそは、ハリ治療ぐらいじゃ治らないっすよ」と
ものすごくトンチンカンな反応をされてしまい、
ファッションの一環と誤認させるつもりが、誤認の方向性がまるで違うので、
ぼくからおしゃれ要素は1ミリも感じられないんだな、と悲しくなりました。
どんなに高性能の医療用ホチキスも、心の傷には無力です。

 さて、冬晴れの里山は、澄んだ空気のおかげで、遠くまでくっきりと見え、
風景の写真を撮るために訪れている人も何人か見かけました。

初冬の里山風景
「初冬の里山風景」

 前回のブログ記事で、夏のケガの後遺症で足腰が痛いと書きましたが、
比較的平坦な里山とはいえ、みんなの後をついていくだけで精一杯です。
もともとぼくは、ひとつの場面の撮影に時間をかける方でもあり、
みんなに見つけてもらった虫を、あとから追いついて撮るだけという、
何とも申しわけない状態。このあと救急車に同乗してもらったことといい、
仲間の足を引っ張っただけの1日でした。

ナカキシャチホコの幼虫
「ナカキシャチホコの幼虫」

 すっかり色づいたコナラの葉を食べていたナカキシャチホコの幼虫。
ここまで紅葉した葉っぱでも、ちゃんと食料になるというのは驚きです。
落葉前に、ぶじにさなぎになれるでしょうか。

ゴマダラチョウの若い幼虫
「ゴマダラチョウの若い幼虫」

 さらにわれわれを驚かせたのがこちら。
おそらく2齢ぐらいではないかと思われるゴマダラチョウ(たぶん)の幼虫。
「たぶん」と書いたのは、まだ若齢で、種の特徴が十分発現していないからですが、
尾端(尻の先)が完全に2つに割れているので、アカボシゴマダラではなさそうです。
すでに木を下りて、越冬態勢に入っていなければならない時期にこんな状態では、
おそらく越冬に成功することはないでしょう。
ゴマダラチョウは、関東平野では多くの場合4齢で越冬しますから、
この幼虫が2齢だとしたら、あと2度、脱皮しなければ越冬できる体になりません。
それまでには、エノキがすっかり葉を落としてしまうでしょう。

アオスジアゲハの越冬蛹
「アオスジアゲハの越冬蛹」

 シロダモの葉裏にあった、アオスジアゲハの蛹。
食樹から離れずに蛹化(ようか)したものは、寄生されている可能性が
高いと聞いたことがありますが、そのとおり、このさなぎを持ち帰った仲間から、
やはり寄生されていた、という後日談を聞きました。
越冬蛹の敵は、きびしい冬の寒さだけではありません。

モズのはやにえ - ニホントビナナフシ
「モズのはやにえ - ニホントビナナフシ」

 この里山にはモズのはやにえが非常に多く、これまでに見たことの
ないメニューが次々に見つかりました。このニホントビナナフシもそうで、
ついさっきまで生きていたかのような新鮮なものでした。
このあと、実際に生きているニホントビナナフシが見つかったので、
まだ活動している個体が少なからずいるのでしょう。
本種はこれまでにも、12月の里山で何度か姿を見ています。

モズのはやにえ - オオカマキリ
「モズのはやにえ - オオカマキリ」

 この日のハイライトはこちら。
オオカマキリのはやにえというのは、そうそう見つかるものではありません。
ぼくも今回の遭遇が初めてです。
こんなものが見つかるとは思わず、広角レンズを持参しなかったことを後悔しましたが、
コンパクトカメラでも、何とか季節感のある背景とともに撮ることができました。
ぼくは2013年に、あかね書房から『オオカマキリ-狩りをする昆虫』という本を
出しましたが、その中に、オオカマキリの命を脅かすものを紹介するページがあります。
寄生虫や輪禍、虫カビ、クモやネコに捕食される場面まで撮りましたが、
モズによるはやにえは、撮りたくて、しかしどうしても撮れなかったものでした。
なかなか思うようにピントが合わないコンパクトカメラに、
その時の口惜しさも手伝って、相当な枚数を撮りましたが、
ぼくを置いて行かずに待っていてくれた仲間に感謝です。

天気がよいのに、今日も本づくりの準備で「内勤」ですが、
あちこちの体の不具合から一刻も早く回復して、
またフィールドを駆け回りたいものです。

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『オオカマキリ-狩りをする昆虫』(あかね書房)
(厚生労働省社会保障審議会推薦図書、
全国学校図書館協議会選定基本図書、日本図書館協議会選定図書)
https://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251067159