涼しい風の吹きはじめた先週の日曜日。
仲間と一緒に埼玉県西部の丘陵地帯まで昆虫観察に出かけました。
宮崎の昆虫写真家・新開 孝さんの上京に合わせて
いつもの仲間が集結した、というわけです。

みんなでカメムシ捜索中
「みんなでカメムシ捜索中」

メンバーは、新開さん、仙台の昆虫写真家・中瀬 潤さん、編集者の阿部浩志さん、
ぼく、の4人です。 中瀬 潤さんは、『カゲロウ観察事典』(偕成社)や、
『うまれたよ!アメンボ』(岩崎書店)などの著書がある水生昆虫の写真の名手。
阿部浩志さんは、新開さんの『虫のしわざ観察ガイド』(文一総合出版)や、
ぼくの『虫とツーショット』(文一総合出版)などを手がけた敏腕の編集者です。

シカのヌタ場
「シカのヌタ場」

モミやスギの高木が生い茂る針葉樹の森。
阿部さんに、これがシカのヌタ場だと教えてもらいました。
ヌタ場とは、動物が体表の寄生虫などを落とすために泥浴びをする場所です。
なるほど、よく見れば獣の毛が残っており、ただの水たまりではないことが
窺い知れます。

ホソオチョウの幼虫
「ホソオチョウの幼虫」

森を抜けて、次のポイントまでの移動の途中で見つけたホソオチョウの幼虫。
違法な放蝶により日本に定着したアゲハチョウ科の外来種です。
ウマノスズクサを食草とするため、在来のジャコウアゲハと競合しますが、
ジャコウアゲハの生態的地位を、どの程度圧迫しているのでしょうか?
分布が不連続で局地的であるため、
さまざまな場所で、何度も放蝶がくり返されているのでしょう。

ホソオチョウの前蛹とさなぎ
「ホソオチョウの前蛹とさなぎ」

同じ場所で、前蛹やさなぎも見つかりました。
おそらく、この時期に見つかるさなぎは、来春まで羽化しない越冬蛹でしょう。

ホソオチョウの幼虫がいた環境
「ホソオチョウの幼虫がいた環境」

このように、ダンプカーが地響きを上げて行き過ぎる道路傍で発生しています。
よく見ると、4匹の幼虫が写っていますね。

お昼を食べた後、小高い丘の上に移動すると、
秋のセミ・チッチゼミがさかんに鳴いています。
ジッジッジッジ・・・という地味な鳴き声は、まるでツユムシのようで、
音源の位置がさっぱりわからないということでは、クビキリギスと双璧です。
すぐ目の前にいるようでもあり、ずっと離れたところで鳴いているようでもあり・・・。

チッチゼミをさがす新開さん
「チッチゼミをさがす新開さん」

双眼鏡でチッチゼミの姿をさがす新開さん。
ほどなく、鳴いているのはかなり高い梢であることがわかり、
残念ながら満足な写真の撮れる状況ではありませんでした。

左から、新開さん、ぼく、阿部さん、中瀬さん
「左から、新開さん、ぼく、阿部さん、中瀬さん」

熱い虫談義が交わされた、さわやかな初秋の日曜日。
自然を見つめるまなざしに、三者三様の哲学を感じることができ、
ぼくも大いに刺激を受けて、チッチゼミの丘を後にしました。