情けないことに、8月はついに一度もブログを更新できませんでした。
進行中の企画撮影を何とかこなす以外に、写真を撮る時間がほとんど捻出できず、
ネタもほとんどないのですが、企画撮影の合間の、
ほんの小さな出会いをふり返ってみたいと思います。

8月前半。3種類の虫を求めて、山梨県へ3日間の旅へ出かけました。
細長いうろを持つコナラの木が右手に見えます。

うろを持つコナラの木(画面右)
「うろを持つコナラの木(画面右)」

うろを持つ木があれば、必ず中を覗いてみることにしていますが、
トカゲ(山梨県は、ヒガシニホントカゲ?)が入っていったので、
ますます興味を持って、中を覗きこんでみました。

うろに入っていくトカゲ
「うろに入っていくトカゲ」

トカゲの姿はどこにもなかったけれど、
人知れずそこに建設されていた「王国」にはびっくり。

驚きの光景
「驚きの光景」

エントツドロバチ(=オオカバフドロバチ)の巣でしょう。
エントツ状の入口を持つ巣が、空間を埋めつくすように
十数個もびっしりと並んでいます。
これは建設中の初期巣で、建設工事が済むと、このエントツはなくなります。

戻ってきた母バチ
「戻ってきた母バチ」

建設中ということは、待っていれば、必ず母バチが戻ってくるはず。
そのとおり、ぼくの耳元をかすめるように母バチがうろに吸いこまれていきました。

巣の中をうかがう母バチ
「巣の中をうかがう母バチ」

エントツ状の入口から、巣の内部をうかがうようなしぐさを見せる母バチ。
留守中に、何者かに侵入されている可能性を危惧しているのでしょうか。
さっきのトカゲが中に入っていたりして?
実際には、トカゲの成体の大きさでは、
このエントツ状の入口を壊さずに中に入ることはできないと思いますが、
寄生性の昆虫などが、母バチの不在につけこむことは十分ありうるでしょう。

それにしても、こんなうろの中に、多くの巣が同居している光景は初めて見ました。
これまでに見たエントツドロバチの巣は、寺院の燈篭の張り出し部の下など、
雨をしのげる庇(ひさし)状のものの下面に、ポツンとついているものばかりでした。
うろの中は確かに、庇の下より風雨への防衛効果が格段に高いにちがいありません。
社会性のハチではないので、巣のあるじは、基本的にはそれぞれ「別人」です
(1匹で2つ、3つを造巣しているというケースはあると思います)。
ここで観察している間に、戻りバチと、出ていくハチがぶつかりそうになることも、
何度かありました。別々の母バチが安全な営巣地を求めた結果、
結果的にここに巣が集中したのでしょう。

エントツ状の入口の延長工事
「エントツ状の入口の延長工事」

泥をこねてエントツ状の入口を延長している母バチ。
濡れた泥を持ち帰る場面も見られました。工事の際には、
巣の外に身を置くのではなく、中に入って顔だけ出す形で作業を行うのですね。

不安定な斜面での撮影
「不安定な斜面での撮影」

非常におもしろい光景だったのですが、撮影には不安定な斜面で、
何度かすべり落ちそうになりました。
そうならないように、長時間、不自然に力を入れていたため、
終了後は脚が攣ったようになってしまい、車まで這って戻ることに。

太陽光発電のパネル
「太陽光発電のパネル」

今回の旅では、あちこちの観察フィールドが
太陽光発電のパネルに置き換わってしまっていることに、非常な焦りを感じました。
これはこれで、エコの名目のもとに行われることではありますが、
設置される土壌の自然的価値を、厳密に評価するシステムが必要かもしれません。
そこで見られる生物種の希少度によってABCDなどの評価段階を設け、
Aならそこをパネル化するのを避けるなど、ブレーキをかけるシステムを
作っておかないと、ごく狭い範囲にかろうじて生き残っている希少な種に、
最後のとどめを刺すようなことが起きてしまうかもしれません。

伐採された斜面
「伐採された斜面」

この斜面も、やがて太陽光発電のパネルに覆われてしまうのでしょうか。