前回の更新からずいぶん間が空いてしまいました。すみません。
さて、昆虫写真家の尾園 暁さんから新刊を送っていただきましたのでご紹介します。
『しぜんのひみつ写真館(7)ぜんぶわかる! トンボ』(ポプラ社)。
ものすごい力作で、これを全部ぼくが撮ろうと思ったら、どんなに大変だろうかと思い、
つい制作側の視点で見てしまって、胃がキリキリと痛くなりました(笑)。

『しぜんのひみつ写真館(7)ぜんぶわかる! トンボ』
『しぜんのひみつ写真館(7)ぜんぶわかる! トンボ』

子供向けのトンボの本というのは、
1種類のトンボで代表してその一生を紹介しようとする場合、
多くの場合はギンヤンマ、時にシオカラトンボ、まれにアキアカネで、
この3種の一生が撮れていれば、ふつうは十分です。
それを、非常にむずかしいオニヤンマでやったというところが、まずすばらしい。

卵から羽化に至るまでの各ステージ、飛翔、捕食、闘争、天敵、交尾、産卵など、
本にするのに欠かせない要素のどこかに、ボトルネックのような難易度の高い部分があると、
「一生」の写真が全部そろわないことになります。
オニヤンマの場合は、卵~孵化がその部分で、植物組織内に卵を産むギンヤンマや、
メスの尻を水につけるだけで、簡単に卵を放出してくれるシオカラトンボとちがい、
飛びながら浅い流れの水底に尻を突き刺して卵を産みこむオニヤンマは、
産卵を終えたメスが飛び去ったあと、卵があると思われるあたりの水底の泥の中から
卵を見つけ出さなければなりません。
砂浜で失くしたコンタクトレンズを探し出すようなもので、
ふつうは、チャレンジもせずに最初から諦めてしまうようなことでしょう。
日本最大のトンボ・オニヤンマなら、その知名度からも、ビジュアル面からも、
写真絵本の役者としては十分な資質を持っているにもかかわらず、
これまでキャスティングされてこなかったのには、そういう理由があります。

その産卵シーンの写真ですが、カメラのレンズがオニヤンマより低い位置にあるため、
産卵中のオニヤンマを水面すれすれから見上げるというスリリングな構図で、
あまりの臨場感にぞくぞくします。このアングルはすばらしい!
尾園さんは、トンボを撮らせたら日本一の昆虫写真家ですから、
このレベルの人が「オニヤンマで行くぞ!」、と本腰で臨むと、
ものすごい本ができるものだなあ・・・と圧倒されてしまいました。

本の後半は、「ぜんぶわかる」の名に恥じない、「トンボ丸ごと図鑑」となっており、
実際のページ数以上に、内容に厚みを感じさせる本となっています。
夏休みの自由研究のネタ本としても最適で、
今の時期、小学生にプレゼントするには、ベストチョイスの1冊ではないでしょうか。

 今日は、記事を2本アップしました。
写真教室のお知らせがありますので、画面をスクロールして、
この記事の直下も併せてご覧いただければ幸いです。