2016.10.21  夜の公園で
 小高い丘の上に、樹木に囲まれた公園があります。
いちおう遊具などはあるものの、基本的にはほったらかしで草ぼうぼうであるため、
虫が棲むには「いい感じ」に荒れており、思いがけない虫に出会えることもあります。

小さな子供がお母さんに連れられてここにやって来ると、最初は遊具で遊んでいるのですが、
そのうち、足もとでぴょんぴょん飛び跳ねるコオロギやバッタに興味を示し、
いつのまにか遊具を離れ、夢中になって虫を追いかけています。
子供が虫に興味を示すキッカケを作ってくれる「よい公園」で、
公園の維持管理が手抜きというのも、悪いことではないなあ・・・と思って見ています。

その公園に、ゾウムシを採集するため、真夜中にやってきました。
丘の斜面に樹木帯があり、丘の下からは、まったく見通しがきかないため、
わざわざ夜にこの場所を訪れる人はいません。

夜の遊具に・・・
「夜の遊具に・・・」

さして明るくもない外灯に浮かび上がる遊具は、昼とはまったく別の顔を見せており、
名状しがたい禍々しさを身にまとって、夜の公園に不健全な彩りを添えています。

そんな遊具で、1匹の大きなカマキリが遊んでいました。

夜に遊ぶオオカマキリ
「夜に遊ぶオオカマキリ」

ぼくに気づき、しばらくは見つめ合っていましたが、
何か不都合なことでもあるのか、その後は、いっさい目を合わせようとしません。
公園に来る子供たちと交替で、毎晩、日が暮れるとここで遊んでいたのでしょうか。
知的生命体と言ってよいような、ただならぬ雰囲気をもつカマキリで、
それ以上の干渉を、背中で拒否しているかのようでした。

ひびく足音
「ひびく足音」

カツン、カツーン。
遊具の上をカマキリが歩き始めると、意外にも足音が大きく響きます。
ふと歩みを止めると、もう一度だけ、ぼくを振り返りました。

もう一度だけ、振り返った
「もう一度だけ、振り返った」

(早 く 帰 っ た ほ う が よ い)と言っているように見えたので、
このカマキリとの奇妙な「交信」を打ち切り、素直に丘を下りました。

まるで催眠術にかけられたかのような、不思議な数分間でしたが、
丘を下りると、2台のパトカーが止まっており、
ライトを持ったおまわりさんが、こちらに向かって近づいてきます。
ぼくが不審者として通報されたのかと思い、ドキッとしましたが、そうではなく、
「公園でケンカをしている連中がいる」、という通報があったそうです。
「ケンカを見ませんでしたか?」と訊かれましたが、
オオカマキリに出会う前からであれば、1時間以上は公園にいたのに、
その間、誰ひとりここには来ませんでした。

何とも不思議な真夜中のできごとで、
・ じゃまなぼくを立ち去らせるため、あのオオカマキリが警官を呼んだ? 
・ それとも、公園でその晩、起きるはずだった危険なできごとを予知し、
  警官を誘導してぼくを守った?

まったく非科学的な空想ですが、
そんなことを考えてしまうほど、ただならぬ雰囲気をもつ不思議なオオカマキリでした。
遊具のてっぺんから、どこか別の世界に戻っていったのかもしれません。

そしてどこへ?
「そしてどこへ?」

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カブトムシゆかりちゃんが、ぼくの本をツイートしてくれました。
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117ページには、「虫とツーショット Collection」が。

どちらも、文一総合出版から出ています。