あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、仕事の撮影機材については、この上なく保守的なぼくが、
昨年は久々に新しいカメラを導入した年となりました。
現在主力で使っている仕事カメラについて、ご紹介をしたいと思います。

これまでの不動の主力機は、ニコンD7000という一眼レフカメラで、
2010年発売の古い機種です。もう10年経ちましたね。同じものを6台持っています。
発売時点では12万円台であったと思いますが、発売中止後に買った3台は、
値崩れして新品でも6万円台とか、最後には4万円台になっていました。

機材に求めるものは人それぞれですが、
ぼくにとってニコン製の一眼レフカメラで仕事に使いうるものはD7000が最後の機種で、
それ以降に出た新しいカメラは、必要な機能・性能を満たしていません。
昆虫という被写体は、撮影対象としてメインストリームではないので、
技術の進歩に伴い、より使いやすいカメラが出てくるというものでもないのです。
今後はもうニコンカメラに期待は持てないと判断し、製造中止後、何年も経ってから、
まだ市場にわずかに残っていたD7000をあわてて買い足したという経緯があります。
6台もあれば、一生これで間に合うだろう。今後はもうカメラを買うこともないのでは…
と思っていました。今でもスタジオ撮影ではバリバリの主力機で、
ぼくの白バック作品は、現時点では100%この機種で撮影されています。

ところが、オリンパスが、プロキャプチャーモード、ボディ内被写界深度合成などの
一撃必殺の「飛び道具」を搭載した機種を発表し、これを使わないわけには
いかなくなりました。前者の機能などは、これまで成功率が5%未満であった撮影を、
50%以上の成功に導いてくれるのです。
OM-D E-M1 mark2という機種を試しに1台導入してみて、
驚くべき効き目の手ブレ補正機能などにも感銘を受け、
すぐにもう1台購入して、2台体制としました。
一眼レフではなく、最近はやりのミラーレス一眼です。

「ニコンD7000(左)とオリンパスOM-D E-M1 mark2(いずれも60ミリマクロつき)」
「ニコンD7000(左)とオリンパスOM-D E-M1 mark2(いずれも60ミリマクロつき)」
(ストロボをセットせずにカメラを構えることはないので、ストロボ内蔵機でない
OM-D E-M1 mark2の使用時はこの形となる。従って意外にコンパクトにはならない)

ミラーレス一眼というのは、EVF(電子ビューファインダー)と呼ばれる電子的に
投影されたファインダー像を見ることになるため、最初は、「こんな見え方では
ちっとも被写体を見ている気がしない」、と強い抵抗を感じていましたが、
「OVF(光学ファインダー)シミュレーション」というモードが備わっていることに
気づき、このモードに固定することで、EVFファインダー像に対する違和感を
感じなくて済むようになりました。オリンパスのプロサービスの方には、
その機能を常時オンにしているカメラマンを初めて見ました、と言われましたが、
搭載された機能への「萌え」ポイントは人それぞれなので、開発済みの機能は
フェイドアウトさせず、これから出る機種にも「全部入り」でいく方がよいと思います。
ぼくにとっては、「OVFシミュレーション」というのは、なくてはならない機能ですね。

オリンパスの弱点は、内蔵ストロボがないというだけでなく、
ニコンと比べて単体のストロボのラインナップも貧弱なこと。
一脚の先端につけたストロボで、バックライトを入れるというぼくの照明スタイルは
このブログでも何度か紹介しましたが、右手でカメラを保持し、左手でストロボ付きの
一脚を操作するには、あまりにも大きく、重すぎるストロボしかありません。
具体的には、ニコンのSB-R200のようなストロボがラインナップされていないこと。

「SB-R200でバックライトの図」
「SB-R200でバックライトの図」

そんなわけで、現在もオリンパスOM-D E-M1 mark2は、
ニコンD7000から完全に主力機の座を奪うまではいかず、「日中戸外はオリンパス、
日が暮れるとニコン、スタジオでもニコン」と、人工照明が必要な場面では、
引きつづきニコンD7000が主力機となっています。
スタジオ機材は、何台でも棚に置いておけばよいので問題はないのですが、
山に持っていく一眼カメラは体力的に2台が限界なので、本当は同じメーカーで揃えたい
ところですが、現在はオリンパスとニコンを1台ずつ持つという変則体制になっています。
山でオリンパスボディが故障すると、オリンパスのレンズが全て使用不能になり、
ニコンボディが故障するとニコンのレンズが全部使用不能になるので、レンズが共通して
使えた「ニコン2台体制」の時代と比べて、故障が本当に怖くなりました。
いま取材に持参するレンズは、この5本です。

8ミリ対角線魚眼レンズ(35ミリ換算16ミリ)→ オリンパスマウント
10-24ミリ超広角ズ-ム(35ミリ換算15-36ミリ)→ ニコンマウント
60ミリマクロ(35ミリ換算120ミリマクロ)→ オリンパスマウント
85ミリマクロ(35ミリ換算127.5ミリマクロ)→ ニコンマウント
40-150ミリ望遠ズ-ム(35ミリ換算80-300ミリ)→ オリンパスマウント

このほか、オリンパスのテレコンバーターを持ちますが、
オリンパスボディが故障すれば望遠系の撮影が不可能になり、
ニコンボディが故障すれば、ワイドマクロ撮影が不可能になります。
中望遠マクロレンズだけは、どちらが故障しても対応できるようにしていますが、
いずれはもっと使いやすいストロボを開発していただいて、
機材を早くオリンパスに一本化したいものです。

ぼくは基本的に「虫屋」であり、カメラにそれほど興味があるわけではないのですが、
機材に関する記事が読みたい方もおられるとお聞きして、
ぼくにしては珍しく新しいカメラを導入したタイミングで、機材ネタを書いてみました。

昨年はまだ十分使いこなしていなかったオリンパスOM-D E-M1 mark2 ですが、
今年はこのカメラでどんな写真が撮れるか、楽しみです。
 8月18日の長池公園での写真セミナー、8月24日のすみれば自然庭園での講演会に
お越しくださったみなさま、ありがとうございました。

「8月18日の長池公園セミナー風景」
「8月18日の長池公園セミナー風景」

野外で行う後半のプログラムに出発する一行。先頭にいるのがぼくです。

「8月24日のすみれば自然庭園講演会風景」
「8月24日のすみれば自然庭園講演会風景」

プログラム前半の室内でのお話。右端の後ろ姿がぼくです。
たくさんの方にお越しいただきました。

 さて、今年は自前のライトトラップ機材を買ったので、
好きな時に好きな場所でライトトラップができるようになりました。
ガソリン式の大型機材ではなく、充電式の小型のものなので、撮影機材を満載した
ぼくの軽自動車にも、なんとかライト機材を積み込むだけのスペースが残ります。

光を投影する幕ですが、シーツなどの大きな布は、やはり荷物になるので、
着ている白いYシャツを脱いでハンガーにかける、という名案を思いつきました。
これなら、針金ハンガーだけ持っていけばよく、ほとんど荷物は増えません。

「白いYシャツに投影されたライト」
「白いYシャツに投影されたライト」

脱いだYシャツの下には、もちろんもう1枚Tシャツを着ているのですが、
名案だと思えたこのYシャツ方式は、ライトトラップ調査会に参加した女性には
たいへん評判が悪く、「首吊り死体みたいだから、こんなのイヤ!」とのことで、
女心がわからないオッサンのデリカシーのなさを露呈してしまいました。

集まってきた虫も、ヘビー級の種はつるつるすべるYシャツ生地が
お気に召さないようで、胸ポケットに集中することに…。

「ライトに来たウンモンスズメ」
「ライトに来たウンモンスズメ」

「ここなら止まりやすい」
「ここなら止まりやすい」

また、光が投影されたYシャツよりも、投光器そのものに虫が集中し、
ライトの熱で参ってしまうという致命的な欠点もあり、最終的には、
「ベビー用品の蚊帳」にライトをすっぽり入れてしまうという方式に落ちつきました。
この蚊帳は、畳むとぺちゃんこになるので、全く荷物になりません。

「ベビー用品の蚊帳とライト機材」
「ベビー用品の蚊帳とライト機材」

これは山梨県で、ひとりでライトトラップをしてみた時の写真ですが、
なかなかみごとな「集客力」を示しました。

「ライトに集まってきた虫たち」
「ライトに集まってきた虫たち」

この林はアカアシオオアオカミキリが多く、その他の樹液昆虫も非常に多いことから、
ここでの樹液浸出には、生木の内部を食べる本種の幼虫が
大きく関与していることでしょう。

 今年から取材カメラにオリンパスのカメラを追加した、ということは、
以前このブログにも書きましたが、
オリンパスOM-D E-M1mk2カメラの「プロキャプチャーモード」の威力は想像以上で、
こんな写真が簡単に撮れるようになりました。

「棒の先に止まろうとするウチワヤンマ」
「棒の先に止まろうとするウチワヤンマ」

ウチワヤンマが棒の先に止まってから、シャッターを切っています。
しかし、その前からカメラは間断なく撮影と消去をくり返しており、
シャッターボタンを押し込んだ瞬間、そこから過去に遡って撮影済みの一定枚数を
初めて保存します。そんなわけで、シャッターを押す前の「過去」が写るのですね。
ぼくは虫とスピード勝負をして、このような決定的瞬間を切り取るような撮影が
実はとても苦手なので、この機能の恩恵は計りしれません。
初めて使ったプロキャプチャーモードでこれぐらい撮れてしまったので、
今後はこうした撮影が楽しみになりそうです。

※ 今年も、日本昆虫協会が主催する「夏休み 昆虫研究大賞」の審査員をします。
  9月29日(日)必着ですので、応募される方はお忘れなく!
  http://nikkonkyo.org/kenkyu-taisyo2019.html
 7月13日~15日にかけて、群馬県を西の端から東の端まで横断してきました。
嬬恋村と桐生市で1泊ずつのスケジュールです。

スミナガシの幼虫(Olympus E-M1mk2)
「スミナガシの幼虫(Olympus E-M1mk2)」

新しく導入した機材・オリンパスの8ミリ対角線魚眼レンズを初めて使ってみました。
幼虫の食樹はアワブキです。 F1.8というとんでもなく明るいレンズで、
このF値でファインダーを覗くと、まるで自分の視力が良くなったかのような
錯覚を覚えるほど被写体がクリアに見えます。近接性能も十分。

アケビコノハの幼虫(Olympus E-M1mk2)
「アケビコノハの幼虫(Olympus E-M1mk2)」

こちらも同じく8ミリでの撮影。幼虫の食草はアオツヅラフジ。

チョウトンボ(Olympus E-M1mk2)
「チョウトンボ(Olympus E-M1mk2)」

オリンパスOMシステムお得意の新技術、カメラ内被写界深度合成機能を使った撮影。

上の写真の一部拡大(Olympus E-M1mk2)
「上の写真の一部拡大(Olympus E-M1mk2)」

斜めの角度から撮っているのに、奥の翅にも手前の翅にも、
かなりしっかりピントが合っていることがわかります。
ピント位置を少しずつずらしながら8コマを連写し、ピントの合った部分だけを
カメラ内で合成して1枚の写真にするという夢のような機能です。
この時点では、8コマというコマ数は固定でしたが、現在はカメラをファームアップ
することにより、3コマから15コマの間で任意に枚数を選べるようになっています。
ついさっき、カメラをファームアップしてみました。 室内で試写してみましたが、
8コマより少し少ない、6コマあたりが使い勝手がよさそうに思います。
従来の一眼レフ方式のカメラでは実現不可能で、ミラーレス一眼ならではの機能ですね。

合成失敗(ゴマダラカミキリ)(Olympus E-M1mk2)
「合成失敗(ゴマダラカミキリ)(Olympus E-M1mk2)」

もっとも、撮影中に虫が不意に動いたりすると合成に失敗し、
こんなものすごい写真になってしまうこともあります(笑)。

ゲンジボタル(Nikon D7000)
「ゲンジボタル(Nikon D7000)」

気温が上がらない長梅雨のせいか、まだゲンジボタルがいました。
絞りリングの存在する古い形式のタムロン90ミリマクロレンズ(272Eの旧型)で撮影。
被写界深度合成機能とは真逆の、古い機材と古典的なテクニックを使った撮影です。

最近のレンズには絞りリングがなく、撮影中に絞りが変更できませんが、
絞りリングのある古い設計のレンズでは、長時間の露光中に絞りを変えることができます。
カメラを三脚に固定し、ホタルを刺激しないように、うす暗い懐中電灯でピント合わせ。
シャッター速度30秒で、絞りはF18。シャッターボタンを押し込んだ直後に、
カメラと接続していないストロボの発光ボタンを指で押してマニュアル発光。
その光を受けて、ホタルの左斜め後方に配置した三脚からもう1灯が追従発光。
その後、速やかに絞りリングを回して開放絞り(F.2.8)に持っていきます。
ここまでの所要時間が3秒ぐらい。残りのおよそ27秒間は、
ホタル自身の光以外は何も光のない状態で、ホタルの発光を丹念にひろいます。
27秒間のうちに、4回ぐらい強く発光すればしめたもの。
感度を800まで上げているので、F2.8で、ホタルの光がこれぐらい写ります。

つまり、ホタルの体はF18でストロボ2灯による瞬間的な露光、
ホタルの光のところだけは、F2.8でおよそ27秒間の長時間露光ということになります。
撮影中に草が揺れたのでしょう、ストロボ発光時点と、その後の長時間露光中とでは、
ホタルのお尻の位置が微妙にずれてしまいました。まあ、これぐらいは許容範囲でしょう。

こういう撮影のためだけに、絞りリングつきの古いマクロレンズを今も所有しています。
被写界深度合成機能とは逆に、現行のミラーレス一眼のレンズラインナップでは
到底まねのできない撮影ですね、

新しい機材と新しい技術、古い機材と古い技術を幅広く使った旅となりました。
2019.04.23  新しい機材
 昆虫大学の学長にして人気作家のメレ山メレ子さんが、
ぼくの著書『虫とツーショット』に絡めて、とてもうれしい森上評を書いてくださいました。
非常に面白いので、ぜひ、こちら↓でエッセイ全文をお読みいただければと思います。
https://napoleon5.com/?p=2413

さて、ぼくには非常に珍しいことですが、この春は新しい撮影機材を続々導入中です。
仕事の道具については極端に保守的な方だし、いま持っている機材が全部壊れるころには
ぼくの寿命も尽きているだろうし、今後はもう、カメラを買うこともないのでは……
と思っていましたが、従来の一眼レフ方式ではなく、新しい「ミラーレス一眼」が
次々に繰り出す仰天機能の数々に度肝を抜かれてしまい、周囲に置いていかれない
ためには、導入せざるを得ない状況に追い込まれてしまったという感じです。
カメラを買い替えただけで、努力もせずに人間ワザを遥かに超えた写真が
撮れるわけですから、ぼくだけ指をくわえて見ているというわけにもいきません。

で、オリンパスのOM-D E-M1 mark2というミラーレス一眼を購入しました。
この写真は60ミリのマクロレンズをつけたところで、
35ミリカメラ換算では120ミリ相当ということになります。

「オリンパスOM-D E-M1 mark2」
「オリンパスOM-D E-M1 mark2」

ストロボが内蔵されていないカメラは決して買わないと、過去にこのブログでも
断言しましたが、今回は同梱の小型ストロボで妥協することにしました。
カメラ内部に格納できないので、常時つけっぱなしにしておくしかなく、
このいびつな出っ張りは、藪の中では相当にストレスにはなるでしょう。

12-100ミリ(右が100ミリ時)」
「12-100ミリ(右が100ミリ時)」

こちらは、高性能のズームレンズ12-100ミリ(35ミリカメラ換算24-200ミリ相当)。
広角側でかなり寄りが効き、この時の撮影倍率が35ミリカメラ換算で
0.6倍相当にもなります。望遠側でも0.42倍相当の倍率を出すことができ、
60mmマクロとこのレンズだけで、ほとんど仕事ができてしまいそうな感じです。

「LAOWA マクロツインフラッシュKX-800」
「LAOWA マクロツインフラッシュKX-800」

ミラーレスカメラのシステムとは関係ありませんが、
海外メーカーのこんな↑ストロボもつい衝動買いすることに……。

このほか、オリンパスのストロボFL-900Rや、防水カメラのTG-5なども購入し、
こんなに機材をまとめ買いしたのも、ずいぶん久しぶりのような気がします。

新しいカメラで撮った写真がこちら。
レンズは、60ミリマクロレンズです。
「コナラの新芽をかじるエゾヨツメ(蛾)の1齢幼虫」
「コナラの新芽をかじるエゾヨツメ(蛾)の1齢幼虫」

うわさ通り、非常にシャープな像を結びます。

「エゾヨツメの1齢幼虫(白バック)」
「エゾヨツメの1齢幼虫(白バック)」

白バックはこんな感じ。
幼虫の大きさは4ミリほどです。F11の絞りで撮っていますが、
オリンパスが採用しているマイクロフォーサーズ規格では、
35ミリ判の半分のF値でほぼ同じ被写界深度が得られるため、
F22相当で撮っているのと同じことになります。
このあたりのF値なら、絞りすぎによる解像感の低下(回折現象)も起きず、
深い被写界深度だけを享受できます。
それこそ、ミラーレス一眼ならではの仰天機能「ボディ内深度合成」を使えば、
さらにシャープな画像が得られると思いますが、
まだLEDライトの機種を検討中なので、それは今後のお楽しみ。

「越冬から目覚めたオオムラサキの4齢幼虫」
「越冬から目覚めたオオムラサキの4齢幼虫」

同じく60ミリマクロレンズで撮影。重量わずか185グラムという軽いレンズで、
これまでメインで使ってきたニコンの85ミリマクロ(355グラム)の約半分です。
年齢とともに重い機材がだんだん負担になってきているということもあり、
もう少しさまざまな場面で使ってみて、このまま期待通りの結果を出し続けてくれるなら、
機材の軽量化という観点からも、オリンパスへの全面的な移行を考えたいと思います。

ぼくはもともとフィルムカメラ時代、オリンパスをメイン機材としてきたのですが、
欲をいえば当時のようなもっととんがった機材(全周魚眼や高倍率マクロレンズ、
伸縮式のエクステンションチューブなど)もぜひ発売してほしいところです。
2017.02.08  光芒
 ブログの更新が滞っており、とうとうお叱りのご連絡をいただきました。すみません。
現在、5月発売予定の本の準備に忙殺されており、このような状況がしばらく続きます。
新撮が可能なものは新撮したい、とジタバタしてきましたが、ようやく一段落し、
これからしばらくは、デスクワーク一辺倒の毎日が始まります。

さて、前回のブログ記事で、
「温暖な気候の常緑広葉樹林で越冬するイメージを出すには、背景のグリーンに加え、
太陽の光芒をどうしても画面に入れたかったのですが~」 と書いたところ、
この6本の光芒はフィルターを使って出すのですか? というご質問をいただきました。
個別には、すでにお答え済みですが、ブログネタもなくてよい機会なので、
ここにも記しておくことにしたいと思います。

6本の光芒が出ている写真というのはこれです。

葉裏で越冬するオオキンカメムシ
「6本の光芒」

太陽から伸びる放射状の光が「光芒」ですが、
6本伸びていますね(右上の2本は、明るく飛んでしまって見えませんが)。
「スノークロス」と呼ばれるソリッドフィルターを使うと、
確かに光芒を6本出すことができますが、この写真で使用したのは対角線魚眼レンズで、
物理的にソリッドフィルターを取りつけることができません。

フィルターを使わなくても、レンズの絞り羽根を使って光芒を出すという方法があり、
絞れば絞るほど、光の脚は長く、鋭く伸びていきますが、
光芒の本数は、絞り羽根の枚数で決まってしまいます。
6枚羽根のレンズなら6本、8枚羽根のレンズなら8本の光芒が出るわけですが、
7枚羽根のレンズを使うと、7本ではなく14本の光芒が出ます。
偶数の絞り羽根を持つレンズでは、羽根の枚数と同じ本数、
奇数の絞り羽根を持つレンズでは、羽根の枚数の2倍の本数が出ると決まっており、
特別なフィルターでも使わないかぎり、奇数の光芒が出ている写真というのは、
おそらくないはずです。

6枚の絞り羽根を持つ対角線魚眼レンズ
「6枚の絞り羽根を持つ対角線魚眼レンズ」

こちらが、オオキンカメムシの写真に使った対角線魚眼レンズ内部の絞りです。
望遠系のマクロレンズでは、背景のボケ味も大切なので、
絞り羽根の枚数が多く、可能ならば「円形絞り」が採用されたものを選びますが、
画角の広い魚眼や超広角系のレンズでは、もともと背景は大きくボケないし、
画面内に太陽を写し込むケースの多いレンズとして、
ぼくは光芒の出方のほうがずっと気になります。
光芒の本数は、多いほうが格好がよい、という人ももちろんいるでしょうが、
ぼくは「太陽の光芒は、6本出るのが最も美しい」と思っていますので、
購入を考えている魚眼・超広角系レンズが6枚羽根を採用していれば、
その点については願ったり、ということになりますね。

春の気配が感じられる頃には、
ブログの更新頻度も上がっていくと思いますので、しばしご容赦を。