2017.01.09  城ケ島へ
 1月7日に、昆虫写真家・尾園 暁さんのご案内で、
三浦半島の先端にある城ケ島まで昆虫観察に行ってきました。
島といっても、橋で結ばれており、車で行くことができます。
雲ひとつない青空が、5人のメンバーを出迎えてくれました。
ポカポカ陽気で、1月とは思えないぐらいです。

青空のもと、虫さがし
「青空のもと、虫さがし」

さっそく、今日のお目当ての虫・オオキンカメムシを尾園さんが見つけました。
もともと、いる場所を尾園さんがピンポイントで見つけてくれていたので、
到着してから、わずか5分後のことです。
こうして目的の虫まで誰かに案内してもらい、あとは撮るだけというスタイルを
この業界では「殿様撮影」と言いますが、本当にそんな感じです(笑)。

葉裏で越冬するオオキンカメムシ
「葉裏で越冬するオオキンカメムシ」

2012年に房総半島で観察したときは、5匹以上で身を寄せあう越冬集団が
いくつも見られたのですが、ここでは1匹ずつ分散して葉裏に止まっており、
高いところにいた3匹の小集団が最大です。
高所は望遠レンズを使うしかなく、本種の越冬写真は、それでは絵にならないので、
いちおう複数で身を寄せあっていることがわかる2匹を広角撮影しました。
温暖な気候の常緑広葉樹林で越冬するイメージを出すには、背景のグリーンに加え、
太陽の光芒をどうしても画面に入れたかったのですが、これが意外に難しく、
入れすぎると全体に紗をかけたようなフレアやゴーストが発生するので、
太陽の高度に合わせ、虫が止まっている葉で光を一部さえぎりながら、
葉のすき間から光芒が伸びるように工夫しました。

目的のオオキンカメムシが早々に撮影できたので、みんなでランチ休憩をかねて海岸へ。
潮の香りのなか、キラキラ輝く海面に、しばし見とれます。

輝く海
「輝く海」

ふと見上げれば、それぞれの電柱のてっぺんには、鳥たちの姿が。

睥睨(?)する鳥たち
「睥睨(?)する鳥たち」

「気をつけないと、トビにお弁当を持って行かれますよ」
尾園さんが注意してくれたので、上空をうかがいながら、手早くお弁当を食べます。

お弁当の入っていた白いコンビニ袋をひらひらさせてみると、
トビがぐるぐると旋回飛行を始めました。
1羽だけではないので、四方八方に注意を払わないといけません。
トビ以外の鳥も多く、そちらに気を取られていると、
1羽のトビが頭上まで迫っていました。
危ない危ない。もう、挑発するのはやめましょう。

空の支配者たち
「空の支配者たち」

色々なものにカメラを向けながら歩くので、ぼくはどうしても遅れがちになります。
先行するメンバーが次々にしゃがみこみ、地面にカメラを向け始めました。

板切れ1枚のシェルター
「板切れ1枚のシェルター」

放置されていた板切れの下には、驚くべき数のヤゴの姿が。
まとまった雨がしばらく降っていないため、本来はこの場所に常時あるはずの
淡水の水たまりが干上がってしまい、わずかな湿り気を求めてこの板の下に
避難したのでしょう。アオモンイトトンボやアカネ系のヤゴの姿も見られましたが、
大きなギンヤンマの幼虫の姿(矢印)がひときわ目立ちます。

干上がっていない水たまりには・・・
「干上がっていない水たまりには・・・」

大きな水たまりは、まだ十分な水をたくわえており、
さまざまな生きものの姿が見られます。
水中を覗きこむのは、当ブログにたびたびご登場をいただいている、
日本蛾類学会の阪本優介さん
知識・情熱ともにずば抜けた在野の研究者で、ぼくの尊敬する虫屋です。

おびただしい数のコマツモムシ
「おびただしい数のコマツモムシ」

水中には、おびただしい数のコマツモムシの姿が。
ハイイロゲンゴロウや、コミズムシsp.の姿も見られました。
水面下には、アミミドロのような藻類が一面にはびこっていますが、
これにもぐりこむようにして、虫たちは体を安定させています。
水生昆虫の多くは体内に空気をためているので、何かにつかまっていないと
浮きあがってしまうことが多いのですが、この「藻類のふとん」は、
虫たちの水中での定位にひと役買っているようです。

尾園さんと阪本さん
「尾園さんと阪本さん」

水に落ちないように、おっかなびっくり撮影している姿はユーモラスで、
ひとしきり虫を撮影したあとは、お互いのそんな写真を撮り合って楽しみました。
気づかれる前にぼくを撮影してドヤ顔(?)の尾園さんと、
ぼくとお互いにカメラを向け合う阪本さん。

4人のメンバーはここで海辺をあとにしましたが、阪本さんだけはひとり残って、
その後も心ゆくまで海浜性昆虫の観察を楽しまれたようです。
こういうところが、彼は本当にすごいなと思います。

オオキンカメムシの幽玄の輝き
「オオキンカメムシの幽玄の輝き」

オオキンカメムシの本当の美しさは、背面のオレンジ色ではなく、
腹部側面にわずかに見える、紫色の輝きにあります。
背面のオレンジ色は、ペイントしたようなベタ塗りですが、
腹部側面は、見る角度によって輝き方が微妙に変わるので、おそらく構造色でしょう。

上の白バック写真は、5年前に撮影した房総半島の個体群のものですが、
今回の三浦半島の個体群も、同じ位置が紫色に妖しく光っていました。
「あそこの紫色がいいんだよね~!」
そんな会話が通じたら、その人は、相当のカメムシ通(?)です。

尾園さん、みなさん、楽しい1日をありがとうございました!

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尾園さんから、今回のオオキンカメムシは、
「ふしあな日記」のSpaticaさん(青木さん)からポイントを教えてもらったので、
自分も殿様撮影みたいなものです、とご連絡がありました。
そういうわけで、青木さんにこそ、一番感謝しなければなりませんね。
青木さん、ありがとうございました。(1月12日に追記しました。)
 12月24日の夜に、虫仲間とフユシャクの観察に行ってきました。
よりによって、わざわざクリスマスイブを選ばなくても・・・と言われそうですが、
年末までの間に、みんなの都合のよい日がこの日だけだったという衝撃の事実(笑)。
ぼくは、その日は彼女と過ごすので・・・と最初は難色を示したのですが、
わかりやすい嘘をありがとうございます!と、全く取り合ってもらえませんでした。

仕方がないので、エア彼女との予定はキャンセルし、
みんなと一緒に埼玉県下のフィールドに繰り出すことに。

暮れゆく雑木林
「暮れゆく雑木林」

3時の集合直後に撮った写真です。
あっという間に日が落ちていく、冬の雑木林。
時おり、冷たい風が枯れ葉を巻き上げていきます。

先に来ていたメンバーが、珍しいサザナミフユナミシャクを発見していました。
食樹として、ほとんどクヌギに依存していると言われる蛾ですが、
昼間はなぜかサクラの樹皮に止まっていることが多いようです。

サザナミフユナミシャク♂
「サザナミフユナミシャク♂」

撮影しやすい場所に止まっているとは限らないため、
時にはこんな恰好で撮影するハメに(笑)。

よきパパたちのご乱心?
「よきパパたちのご乱心?」

お二人ともよきパパで、立派な家庭人ですが、
虫を前にすると、みごとにリミッターが外れます(笑)。
ぼくは完全に足を投げ出してうつぶせになることが多いため、
通行人に「大丈夫ですか?」と声をかけられることもしばしばですが、
ちがう意味で、大丈夫ではないのかもしれません・・・。

夕方にこうして下見をしたあと、いったん食事に出て、
日が暮れてから現場に戻ってくるのが、フユシャク観察の基本パターンです。

吸蜜するカシワオビキリガ(フユシャクの仲間ではない)
「吸蜜するカシワオビキリガ(フユシャクの仲間ではない)」

真っ暗な雑木林で、ライトに浮かび上がるカシワオビキリガ。
ツバキやサザンカは、冬に活動する蛾たちにとっては重要な吸蜜源です。

樹液に集まるフサヒゲオビキリガ(フユシャクの仲間ではない)
「樹液に集まるフサヒゲオビキリガ(フユシャクの仲間ではない)」

夏とちがい、樹液が出ている木はほとんどありませんが、
それだけに、貴重な樹液を虫たちは見逃しません。
目ざとく見つけて、こうして集まってきます。

トイレの灯りにクロオビフユナミシャク
「トイレの灯りにクロオビフユナミシャク」

屋外トイレの灯りは、よい観察ポイントで、しばしば多くのフユシャクが飛来します。
ここのトイレには、クロオビフユナミシャクが来ていました。
もちろん男子トイレですが、それでも相当に怪しい行動にはちがいありません(笑)。
こういう札にドキリとさせられるということは、
自分がもう不審者になってしまった証拠でしょうか・・・。

不審者に注意!
「不審者に注意」

樹木の枝では、シロオビフユシャク、ウスバフユシャク、クロバネフユシャクと
次々にオスが見つかり、ほどなく、交尾しているイチモジフユナミシャクが見つかりました。

イチモジフユナミシャクの交尾
「イチモジフユナミシャクの交尾(左がメス)」

やはり、フユシャクの写真は「交尾シーンを撮影できてナンボ」です。
翅のあるオスと、翅のない(あるいは、ほとんどない)メスが同一種であることを示す、
またとない証拠写真になります。
フユシャクの中には、メス単独では外見から種名を特定できないものもあり、
オスとの交尾態で見つけないかぎり、種名をつけて写真を発表することができない、
そういう場合もあります。
イチモジフユナミシャクの雌雄(白バック)
「イチモジフユナミシャクの雌雄(白バック)」

イチモジフユナミシャクのメスは完全な無翅ではなく、痕跡的に翅が残っています。
わずかに残った翅を鮮やかなグリーンに飾りたてるのは、密やかなおしゃれ心でしょうか。
活動時間帯は夜間ですから、フユシャク男子たちの目を惹きつけるためではないはずです。
グリーンのない冬の落葉広葉樹林では、保護色になるということもないでしょう。

余談ですが、フユシャクのメスは、歩行中は触角を前に伸ばしますが、
静止すると、触角をたたみます。今回のイチモジフユナミシャクのメスは
その反応がいちじるしく速く、静止したその瞬間に触角をたたむ、という感じでした。
白バック上を高速(かなりの速さで歩きます)で歩きまわっている間は触角が写りますが、
速すぎて全然ピントが合わない。 よし止まった! と思った時には、もう触角が写らない。
イチモジフユナミシャクのメスの静止状態(白バック)
「イチモジフユナミシャクのメスの静止状態(白バック)」

・・・こんな写真になってしまうわけですね。

そういうわけで、触角が写っている方の写真は、白バック上を長時間歩いてもらい、
疲れて歩行速度が落ちたタイミングで撮影しました。
このメスには、本当に気の毒なことをしたと思いますが、その時間は5時間にもおよび、
立ち止まるたびに、つまようじの先端でお尻をツンツンしながら歩くように促すのは、
肉体的疲労と自責の念とで、ぼくも相当にしんどい時間でした。
左手でつまようじをあやつり、立ち止まりそうになると、
その都度、右手でカメラを構えるわけですね。
フユシャクの活動性が高まらないよう、スタジオには暖房を入れることもできず、
フィールドで冷えた体を温めることもなしに、ぼくのクリスマスイブは、
フユシャク女子のお尻だけを見つめて明けていきました・・・。

■ ■ ■
ひどく更新のおそい気まぐれなブログに、
今年もおつき合いいただいた読者のみなさま、ありがとうございました。
お健やかに、よいお年をお迎えください。
 ブログの更新がひどく滞っており、すみません。
もう、1ヶ月近くも前のことになってしまいましたが、
九州の昆虫写真家・新開 孝さんの上京スケジュールに合わせ、
11月27日に、気心の知れたメンバーで晩秋の雑木林を歩いてきました。

この3日前には、東京で54年ぶりに11月の降雪が観測されたばかりです。
埼玉県内でも一時、ノーマルタイヤの車では危険を感じるほどの
まとまった雪となりましたが、もうほとんど溶けており、
地面がぬかるんですべりやすくなってはいるものの、それほど歩きにくさは感じません。

ジャコウアゲハの越冬蛹
「ジャコウアゲハの越冬蛹」

車から降りると、目の前にジャコウアゲハの蛹が。
枝に固定するための帯糸がずいぶん太いなあ・・・と改めて感じます。
羽化までこの状態で半年ほど過ごすわけですから、まさに命綱と言ってよいでしょう。

ガマズミの実
「ガマズミの実」

林内はすっかり秋の装いで、飛んでいる姿を見かけるのは、フユシャクとユキムシだけ。
ガマズミが鮮やかに森を彩っています。

ノウサギ(左)とタヌキのフン
「ノウサギ(左)とタヌキのフン」

哺乳類にくわしいメンバーが、ノウサギとタヌキのフンを見つけました。
ノウサギのフンには虫が1匹も来ていなかったけれど、タヌキのフンには
ベッコウバエが来ています。

ベッコウバエのペア
「ベッコウバエのペア」

驚いたことに、明らかな配偶行動を取っていました。
夏の間、ときどきクヌギなどの樹液で見かける虫ですが、周年経過がよくわからず、
晩秋のこんな寒い時期が、彼らの恋の季節なのでしょうか。
合計3匹の姿を見かけましたが、冷えた空気の中を敏捷に飛び回っていました。

朽ちた丸太を起こしてみれば、数匹のアカシマサシガメが身を寄せ合っており、
針葉樹の樹皮下からは、オオトビサシガメが見つかります。
朽ち木内から見つかったナガニジゴミムシダマシのなかまと
ユキムシを白バック写真のモデル用に追加採集して、雑木林をあとにしました。

ナガニジゴムシダマシは非常によく似た種が4種おり、
ユキムシと合わせて種名を調べ中です。
(写真は、左上から時計回りに、オオトビサシガメ、アカシマサシガメ、
ユキムシのなかま、ナガニジゴミムシダマシのなかま。)

晩秋の雑木林で見つけた虫たち
「晩秋の雑木林で見つけた虫たち」

最後に、みんなで記念写真。
このあと、熱々の食事で温まりながら、しばし話がはずみました。

みんなで記念写真
「みんなで記念写真」
2016.10.21  夜の公園で
 小高い丘の上に、樹木に囲まれた公園があります。
いちおう遊具などはあるものの、基本的にはほったらかしで草ぼうぼうであるため、
虫が棲むには「いい感じ」に荒れており、思いがけない虫に出会えることもあります。

小さな子供がお母さんに連れられてここにやって来ると、最初は遊具で遊んでいるのですが、
そのうち、足もとでぴょんぴょん飛び跳ねるコオロギやバッタに興味を示し、
いつのまにか遊具を離れ、夢中になって虫を追いかけています。
子供が虫に興味を示すキッカケを作ってくれる「よい公園」で、
公園の維持管理が手抜きというのも、悪いことではないなあ・・・と思って見ています。

その公園に、ゾウムシを採集するため、真夜中にやってきました。
丘の斜面に樹木帯があり、丘の下からは、まったく見通しがきかないため、
わざわざ夜にこの場所を訪れる人はいません。

夜の遊具に・・・
「夜の遊具に・・・」

さして明るくもない外灯に浮かび上がる遊具は、昼とはまったく別の顔を見せており、
名状しがたい禍々しさを身にまとって、夜の公園に不健全な彩りを添えています。

そんな遊具で、1匹の大きなカマキリが遊んでいました。

夜に遊ぶオオカマキリ
「夜に遊ぶオオカマキリ」

ぼくに気づき、しばらくは見つめ合っていましたが、
何か不都合なことでもあるのか、その後は、いっさい目を合わせようとしません。
公園に来る子供たちと交替で、毎晩、日が暮れるとここで遊んでいたのでしょうか。
知的生命体と言ってよいような、ただならぬ雰囲気をもつカマキリで、
それ以上の干渉を、背中で拒否しているかのようでした。

ひびく足音
「ひびく足音」

カツン、カツーン。
遊具の上をカマキリが歩き始めると、意外にも足音が大きく響きます。
ふと歩みを止めると、もう一度だけ、ぼくを振り返りました。

もう一度だけ、振り返った
「もう一度だけ、振り返った」

(早 く 帰 っ た ほ う が よ い)と言っているように見えたので、
このカマキリとの奇妙な「交信」を打ち切り、素直に丘を下りました。

まるで催眠術にかけられたかのような、不思議な数分間でしたが、
丘を下りると、2台のパトカーが止まっており、
ライトを持ったおまわりさんが、こちらに向かって近づいてきます。
ぼくが不審者として通報されたのかと思い、ドキッとしましたが、そうではなく、
「公園でケンカをしている連中がいる」、という通報があったそうです。
「ケンカを見ませんでしたか?」と訊かれましたが、
オオカマキリに出会う前からであれば、1時間以上は公園にいたのに、
その間、誰ひとりここには来ませんでした。

何とも不思議な真夜中のできごとで、
・ じゃまなぼくを立ち去らせるため、あのオオカマキリが警官を呼んだ? 
・ それとも、公園でその晩、起きるはずだった危険なできごとを予知し、
  警官を誘導してぼくを守った?

まったく非科学的な空想ですが、
そんなことを考えてしまうほど、ただならぬ雰囲気をもつ不思議なオオカマキリでした。
遊具のてっぺんから、どこか別の世界に戻っていったのかもしれません。

そしてどこへ?
「そしてどこへ?」

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カブトムシゆかりちゃんが、ぼくの本をツイートしてくれました。
https://twitter.com/KBT_Yukari/status/773406778805583872
ありがとうございます。 ご購入はこちら↓から。
http://www.bun-ichi.co.jp//tabid/57/pdid/978-4-8299-1025-2/catid/2/Default.aspx

ゆかりちゃんの本はこちら↓です。
http://www.bun-ichi.co.jp/Default.aspx?TabId=57&pdid=978-4-8299-7207-6
117ページには、「虫とツーショット Collection」が。

どちらも、文一総合出版から出ています。
 「ポケモンGO」ネタでブログ記事を1本書こうかと思っているうちに、
ブームのピークもそろそろ過ぎてしまった、という感じでしょうか?
世の中の流行りすたりには疎いオッサンなので、そのへん、どうもよくわかりません。

さて、少し前に、「ポケモンGO」への批判発言をしたやくみつるさんが炎上されて
いましたが、世の中に問題提起をしたいと思ったら、炎上させてしまうのが一番で、
ほどほどの炎上は、ご本人としては「目論見どおり」といったところでしょうか。

批判発言の内容は、

「こんなことに興じている人を侮蔑する。現実は面白いことに満ちあふれているわけで、
たとえば道端の植え込みにも虫はいるし、しかしそこで現実にはいないキャラクターを
探している。親はもっと楽しいものを子供に提供する義務があるのでは?」

つづめて言えば、こんなようなことであったと思います。

ぼくも虫屋ですから、同じ虫屋であるやくさんの意見は非常によくわかります。
「ポケモンGO」をプレイ中の知人のスマホ画面を覗かせてもらいましたが、
あまりにもなじみ深い既視感に、つい口を出さずにはおれず、

 「俺、こんなの何十年も前から雑木林でやってるよ」
 「ルリモンGO!(=ルリモンハナバチ)とか、
  トビモンGO!(=トビモンオオエダシャク)なんてね!(笑)」
 「ベニモンカラスシジミとかは、やっぱ、レアなキャラクターだよな~!」

などと絡んでいたら、
「うるさいわ、ボケ! 馬鹿もんGO!」 と追い払われてしまいました(笑)。
やくさんのような有名人ではないので、
ぼくの炎上(?)は毎度この規模のつつましいものです。

ぼくとしては、実体のある3次元のキャラクターを探す楽しさをすでに知っているので、
2次元のキャラクターごときで満足している知人に妙な優越感を感じてしまい、

 「そんな、あてがいぶちの架空のキャラクターに頼らなくても、
  こっちは、リアルポケモン探しで、毎日楽しんでるもんね~!」

ということを言いたかったわけですが、虫屋であるやくさんがおっしゃったのも、
そういう日常の体験がベースにあってのことでしょう。

で、前フリが長くなって恐縮ですが、ポケモンGOスポットになっているという
都心の公園へ、「セミ」という、リアルポケモンの取材に行ってきました。

バーチャル昆虫採集ゲーム(?)に興じる人々
「バーチャル昆虫採集ゲーム(?)に興じる人々」

アブラゼミやコシアキトンボには目もくれず、スマホ画面を見ている人たち。
確かに、虫屋から見れば、この光景は相当に奇妙なものに思えます。
近くの梢を見上げれば、こういう季節感あふれるリアルなキャラクターが
ちゃんといるわけですが。

リアルポケモン(アブラゼミ)
「リアルポケモン(アブラゼミ)」

サクラの樹皮には、こんなキャラクターが。
これは、ポケモンとは無関係?

なんのキャラクター?
「なんのキャラクター?」

今回は、「ミンミンゼミのぬけがら探し」というのが目的のひとつでしたが、
100個中、1個以下の割合でしか見つからず、ほとんどがアブラゼミのものでした。
成虫の個体数は、おそらく8対2ぐらいの割合で、ミンミンゼミも2割ぐらいは
いそうな感じですから、このぬけがらの少なさは、ちょっと不思議です。
しかも、よい状態のぬけがらがなく、目的を十分達することはできませんでした。
ここでは、たとえば羽化のピークがアブラゼミよりミンミンゼミの方がずっと早く、
そのために、残っているぬけがらも状態が悪く、多くは風に吹き飛ばされてしまった
ということかもしれません。

おびただしい数のぬけがら
「おびただしい数のぬけがら」

おびただしい数のぬけがら。
アブラゼミとミンミンゼミのぬけがらの識別には、虫メガネが必要なので、
炎天下に200個以上のぬけがらをひとつひとつ見ていくのは、
なかなかしんどいものがありました。

で、ふと植え込みに視線を落とせば、やっぱり、こんなにも面白い光景が!

アブラゼミのぬけがらが14個
「アブラゼミのぬけがらが14個」

ストロボをピカピカ光らせながら撮影したので、みんな興味津々で近づいてくるかな?
と思いましたが、スマホ画面から目を離す人は誰もおらず・・・(笑)。
それぞれのポケモンを、それぞれが自由に楽しめばよいわけですが、
こっちの方が、ぼくはだんぜん面白いと思うけどなあ・・・。