2019.02.06  取材
昨年末、デイリーポータルさんに取材していただきました。
2015年の記事 「虫と自撮りをする男」 と同じく、
今回も、ライターは脱力系のギャグが味わい深い伊藤 健史さん。
「冬の蛾をかっこよく撮ろう」は、こちら↓です。
https://dailyportalz.jp/kiji/fuyu-no-ga-kakkoii

ナミスジと月
 あけましておめでとうございます。
引っ越しを済ませた後、年内に一度はブログを更新したいと思っていましたが、
結局、新年のご挨拶となってしまいました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年は、7月にフレーベル館より『虫・むし・オンステージ!』という本を
出すことができました。おかげさまで好評をいただき、
近く海外版も出ることが決まっております。

また、9月にはNHK-Eテレの「沼にハマってきいてみた」に
出演させていただきました。その一部をこちらで視聴いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=I-QwKjXbMVw

2018年の新刊『虫・むし・オンステージ!』
「2018年の新刊 『虫・むし・オンステージ!』」

引っ越しのドタバタがあったおかげで、10月から全く写真を撮っていませんでしたが、
年内に一度はフィールドへ出たいと思い、12月19日に神奈川県下のフィールドへ
出かけてきました。埼玉県時代より、ときどき足を運んでいた場所です。

月光
「月光」

梢ごしの月光が足もとにうっすらと影を作る、風のない比較的暖かい晩でした。
この時期のお目当てといえばもちろん、冬にだけ現れる蛾・フユシャクですが、
どうも例年とは異なり、この時期に出るべきものがまだ出ていない、そんな印象でした。

クロオビフユナミシャク♀
「クロオビフユナミシャク♀」

比較的多かったフユシャクは、クロオビフユナミシャク。
このメスは、木製のベンチ上を歩いていました。
オスの姿もちらほら目にしましたが、ほぼ同時期に出るはずのチャバネフユエダシャクが
全く見られません。ここでは個体数が多いはずのナミスジフユナミシャクも、
気の早い出始めの個体がいてもよいはずですが、1匹も見つけられませんでした。

キマエキリガ
「キマエキリガ」

秋に出るこの蛾がまだいたことも、「冬が本格到来していない感」の演出に
ひと役買っていましたが、蛾の達人によれば、
神奈川県下のキマエキリガは、2008年に採集された1個体のみで、
ぼくが見たのは、神奈川県では10年ぶり2個体目であるとのこと。

う~ん、そんなに貴重な記録だったのか。
無知というのは怖いなと、自分が情けなくなりました。

お正月も荷解きの真っ最中で、まだスタジオセットが組めない状況ですが、
一刻も早く、最低限の仕事ができるようにセッティングしたいと思っています。
更新の遅い気まぐれなブログですが、今年もときどき覗いてみていただければ幸いです。

こちらでは除夜の鐘ではなく、港から0時に汽笛が聞こえてくるという話なので、
これからちょっと近所まで出かけてきます。
 55年間住んだ埼玉県を離れ、神奈川県に引っ越すことになりました。
慣れ親しんだフィールドを離れるのは非常につらいことですが、
なぜ神奈川県に移るのかというと、これは介護にかかわる問題で、
ぼくには選択の余地がなかったということです。

新しい住居の周辺は完全な市街地で、
これまでのように徒歩圏内に取材できる場所はありませんが、
今後は車で少し遠出をすることで解決するしかなさそうです。

引っ越しは夏前にはもう決まっていたので、
この夏は飼育中の虫の世話をしながら、こうしてベランダに出ればカエルの合唱が
聴こえてくるというのは、なんと贅沢なことだったのだろうと、
来年にはもう聴けなくなるBGMを特別な思いで噛みしめていました。
駅も田んぼも、徒歩5分圏内にあるというのは、
政令指定都市であるさいたま市の中では、なかなか得がたい場所でしたね。

海に近い場所に住むのは、生まれて初めての経験になります。
台風のあとは、飛ばされてきた海水による塩害で窓ガラスが曇るような場所ですが、
ベランダに置く鉢植えの樹木が大丈夫だろうかと、今から心配しています。
引っ越しに備えて、鉢植えは半分以下に減らしましたが、
それでもクヌギ、エノキ、ヨシ、キジョランなど、11鉢を新居に持っていきます。
コナラ、イチジク、ヤマザクラ、アワブキなどは、水を与えずに枯死させ、廃棄しました。
植物も生きものですから、自分の行為により次第に弱っていく姿を見るのは
非常につらいことでしたが、今のベランダよりもかなり狭くなるので、
全部を連れていくことはできません。

新しい土地への期待感ももちろんあり、南方系の虫の中には、
埼玉では見られないが、神奈川までは普通に見られる、という種も少なくありません。
温暖化により、思いがけない虫が海岸線伝いに北上してくることもあるでしょう。
沿海地ならではの新しい発見があるかもしれません。

写真は、今まで通っていたフィールドです。家のそばには、こういう風景がありました。
今後はなつかしい場所として、時々思い出すことになるのでしょう。
次のブログ更新は、12月15日より後に、神奈川県の新居からになると思います。

この風景ともお別れ
「この風景ともお別れ」
 少し前になりますが、スジモンヒトリ(蛾)の幼虫と、
ブランコヤドリバエ(たぶん)のバトルに遭遇しました。

クワの葉にいたスジモンヒトリの幼虫を撮影しようと近づくと、そこにはハエの姿が。
(邪魔だから、どいてくれないかな?)と一瞬思いましたが、
ハエの全身から、ただならぬ殺気みたいなものがビンビン伝わってきたので、
ああ、寄生バエが獲物を狙っていたのか・・・と、状況が理解できました。

以下、セリフ形式で。

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3ESC_6046.jpg

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このあと、スジモンヒトリの幼虫を採集して、ルーペで体の隅々まで点検しましたが、
卵らしいものは発見できず、やがて飼育下で繭を紡ぎました。
この繭から、蛾が出てくるのか、それともハエが出てくるのか?
答えは、来年までお預けということでしょう・・・。
 テレビのオンエアを見てくださったみなさま、ありがとうございました。
番組の公式サイトへ、ぼくのインスタアカウントを訊ねてくださった方が
おられるそうですが、ぼくはインスタグラムはやっていないのです。すみません。
せめて、番組では使わなかったカットを1点、ここにアップしておきますね。

「オオスズメバチと自撮り」
「オオスズメバチと自撮り」

この自撮りは、右手に持ったカメラをこちらに向けて撮っています。
非常に攻撃的なハチなので、いつになく顔がこわばっていますが、
刺されると死ぬこともありますから、みなさんは決して真似をしないでくださいね。
ぼくはちゃんと血液検査をして、刺されてもアナフィラキシー・ショックを
起こす可能性がきわめて低いことを確認した上で撮っています。
実際、スズメバチには過去に2度刺されましたが、命に別状はありませんでした。
なぞの蕁麻疹が出て、2週間ほど消えませんでしたが…。

「松井愛莉さんと自撮り(許可を得てアップしています)」
「松井愛莉さんと自撮り(許可を得てアップしています)」

こちらも同じように顔がこわばっていますが、内心はうれしくて仕方がありません。
感激のあまり胸がいっぱいで息もできず、こんな顔になってしまったというわけです。
番組でやったように、この写真にフキダシでセリフを入れるとしたら、
「時間よ止まれ」で決まりですね。
こんな形のピースサインは世界のどこにもなく、指先からも緊張が伝わってきます(笑)。
松井愛莉さんは本当に素敵な方で、こんなうらぶれたオッサンとの記念写真にも、
気さくに応じていただけました。

「ぼくの自撮りカメラ」
「ぼくの自撮りカメラ」

 番組で使ったぼくの自撮りカメラをご紹介しておきましょう。
カメラはオリンパスのTG-3(現在はTG-5が最新機種で、さらに進化しています)。
アダプターを介して、魚眼コンバーター「魚露目8号」(有限会社フィット製)を
取りつけています。この組み合わせは、虫を撮る人の中ではすっかりスタンダードに
なっており、「魚露目8号」でネット検索すると、たくさんの作例画像が見られます。
同じキーワードに、「TG」と「アダプター」を加えると、アダプターの情報も得られます。

別の話題です。
時系列としては、放送よりもこちらが先となりますが、
「夏休み昆虫研究大賞」の審査が終りました。

「「夏休み昆虫研究大賞」の審査風景」
「「夏休み昆虫研究大賞」の審査風景」

応募作品の水準によっては、「大賞」が空席という年もありますが、
今年度は、大賞らしい大賞が出ました。
入賞者には、そろそろ通知が届くころだと思います。
来月の表彰式でお会いしましょう。

※ 引き続き『虫とツーショット』をよろしくお願いいたします。
『虫とツーショット』写真・文 森上信夫(文一総合出版)
『虫とツーショット』写真・文 森上信夫(文一総合出版)