来年出版予定の本の取材で、群馬県へ行ってきました。
ぼくの住んでいる神奈川県とくらべて、季節は明らかに先へ進んでおり、
雑木林に入ると、みごとな紅葉・黄葉がまぶしいほどです。

「雑木林の黄葉」
「雑木林の黄葉」

 足もとの枯れ葉をカサコソ言わせているのは、センチコガネ。
哺乳類のフンを食べる虫ですが、フンは四季を通じて供給されるので、
体を動かせる程度の気温があるうちは、越冬態勢に入らないのでしょうか。

「林床のセンチコガネ」
林床のセンチコガネ」

 ミツマタの木には、イセリアカイガラムシが群れていました。

「イセリアカイガラムシ」
「イセリアカイガラムシ」

 池のほとりのアカメヤナギを見ると…

「ヤナギコブオオアブラムシ」
「ヤナギコブオオアブラムシ」

 ヤナギコブオオアブラムシのコロニーが。
クリオオアブラムシが、アブラムシ界の東の横綱なら、
こちらは、西の横綱といった感じでしょうか。
小型種が多いアブラムシの中で、飛びぬけて大きいのがこの2種です。
「クリの巨人」がクリオオアブラムシなら、
こちらはさしずめ、「ヤナギの巨人」といったところ。

「ヤナギコブオオアブラムシ(アップ)」
「ヤナギコブオオアブラムシ(アップ)」

 名前に「コブ」とありますが、腹部背面の黒い部分がその「コブ」で、
まるで一本角の鬼のキャラクターのように見えますね。

 9月からレギュラー出演している「荻野目洋子の虫はともだち」(Jテレ)ですが、
次回の放送(第6回)は、11月19日(土)13:00~になります。
前回に引きつづき、鳥取県南部町での収録で、今回の虫は、ニシキリギリス。
南部町の北に位置するのが、鳥取県西部の中心的な存在である米子市ですが、
ぼくにとって、米子は第2の故郷のような場所で、
2泊3日の収録を終えた後、テレビクルーと別れて、ひとりでもう1泊してきました。
住んだことこそないけれど、農道まで知っている、なつかしい場所。
11年ぶりの訪問に、思い出がこみあげて、涙ぐんでしまう場面もありました。

 キリギリスが、「ニシ」と「ヒガシ」の2種に分かれる(2006年)およそ10年前、
ぼくは、1995年に米子市のキリギリスを見て混乱し、こんなに緑色が濃く、
翅の長いキリギリスがいるだろうか? おかしいぞ。これは本当にキリギリスなのか?
北海道にいるハネナガキリギリスが隔離分布しているのでは?
と不思議に思ったことがありましたが、ぼくの感覚はきわめて正確で、その後、
米子市に分布しているキリギリスは、関東のものとは別種であることがわかり、
ニシキリギリスと名づけられました(関東のものは、ヒガシキリギリスと命名)。

 あの時に、もっと深く掘り下げていたら、ニシキリギリスの発見者になれていたかも
しれません。米子市には、本当にいろいろな思い出があります。

 「荻野目洋子の虫はともだち」は、無料アプリ↓「ど・ろーかる」を入れることで、
https://newsreleases.jcom.co.jp/file/22083001_print.pdf
放送翌日から1ヶ月間はスマホでいつでもご視聴になれますので、
第5回(オニヤンマ)も、まだ視聴可能です。
19日放送の、第6回ニシキリギリスの予告編はこちら↓。
https://twitter.com/CwKaDMIKVPLYzkt/status/1592374084658434048

 以前、当ブログで予告した荻野目さんとの「合奏」(?)は、

「荻野目洋子さんとセッション(?)」
「荻野目洋子さんとセッション(?)」

ようやく今回、19日の放送でご覧いただけます。お楽しみに!
2022.11.03  お知らせ
 出版のお知らせです。
今回は自著ではなく、ぼくの写真を使用していただいた本が出るという形ですが、
誠文堂新光社から、『刺す! 咬む! 防御する! 猛毒をもつ危険生物』 という図鑑が
11月10日に発売になります。

「『刺す! 咬む! 防御する! 猛毒をもつ危険生物』」
「『刺す! 咬む! 防御する! 猛毒をもつ危険生物』」

 「毒の種類」がアイコン化されて添えられているのがユニークで、
たとえば毒ヘビでは、神経毒と出血毒など、タイプの異なる複数の毒を持っている種には、
ちゃんと複数のアイコンが添えられています。

 ぼくは昆虫ページの、チャドクガやマツモムシ、ゲンゴロウの幼虫、
キアシナガバチ、オオスズメバチなどの写真を担当しました(掲載写真の脇には、
それぞれ写真家名がクレジットされています)。

 ぼくは、ハチ毒に対するアレルギーはもともと陰性だったのですが、
何度も刺されているうちに、知らぬ間に陽性となっており、ハチ料理を食べた直後に、
「刺傷」ではなく「経口」による珍しい形でアナフィラキシー・ショックを
起こしたことは、以前このブログにも書きました。
http://moriuenobuo.blog.fc2.com/blog-entry-162.html
ハチ毒によるアナフィラキシー・ショックについては、
IgE抗体検査という血液検査でリスク判定ができますから、何度も刺されて
そろそろヤバイかもしれない、と思う人は、検査を受けた方がよいと思います。
ぼくはアシナガバチの毒に対して陽性判定が出ていますので、刺されれば命の危険があり、
万一に備えて「エピペン」という自己注射薬を医師に処方してもらっています。

 もう1件、こちらはレギュラー出演中の番組「荻野目洋子の虫はともだち」の
次回放送のお知らせ。11月5日(土)放送分(第5回)は「オニヤンマ」で、
今回は、ぼくの「神スイング」(?)がご覧いただけます。

「神スイング(?)」
「神スイング(?)」

 鳥取県南部町での収録ですが、地方ロケは、お目当ての昆虫のいるポイントや密度などの
情報が事前に把握しきれないことが多く、今回のオニヤンマ回では、成虫を得ることに
非常に苦労しました。いつものように、子供たちに「捕ってごらん」と言える余裕もなく、
網の届く範囲に飛来したのは一度きりで、ここで自分がしくじると番組が成立しないかも
しれない…という悪い展開が頭をよぎる中で、何とかネットインすることができました。
勉強もせずに虫捕りばかりしていたことが、こうしてのちの仕事に繋がっているわけですね。

番組の予告編はこちら↓です。
https://twitter.com/CwKaDMIKVPLYzkt/status/1587597417804750848

 図鑑の方と合わせ、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
 ぼくもレギュラー出演している「荻野目洋子の虫はともだち」(Jテレ)ですが、
明日は1回お休みで、次回の放送(第5回)は11月5日(土)になります。
無料アプリ↓「ど・ろーかる」を入れることで、
https://newsreleases.jcom.co.jp/file/22083001_print.pdf
放送翌日から1ヶ月間はスマホでいつでもご視聴になれますので、
第3回(ショウリョウバッタ)と、第4回(オオカマキリ)は、
今日現在まだ視聴可能(第3回は31日まで)です。

巣の中のイチモンジセセリ幼虫
「巣の中のイチモンジセセリ幼虫」

 この秋は、イチモンジセセリの幼虫が多いように感じます。
本種の幼虫は、多くのセセリチョウ同様、造巣しますが、
近所の公園のススキで巣を見つけたり、わが家のベランダに置いているヨシの鉢植えに、
いつの間にか多数の巣ができていたりします。

 写真は、そのヨシの巣の中にいる幼虫。10月19日の撮影です。
頭部の模様が、典型的なイチモンジセセリのようではありませんが、
まだ終齢幼虫ではないからでしょう。本種は中齢幼虫での越冬が標準だと思いますが、
どう見てもすでに終齢に達していると思われる個体もおり、
年内に蛹化するのか、このまま終齢で越冬するのか、見守りたいと思います。

 本種は、幼虫の齢期がそもそもはっきり決まっておらず、
非越冬世代では5齢が終齢、越冬世代では6または7齢が終齢で、
保育社の図鑑によれば。飼育下では8齢に達するケースもあるそうです。
 まだセミの声が聞こえてくるうちは、夏の虫もそれなりに撮影可能ですから、
いま、駆け込み撮影にバタバタと忙しくしています。
しかし、使用媒体の決まっている企画撮影ばかりで、ブログにアップしてよい写真がなく、
これは何とかせねばならんなあ…と思っています。

 ぼくは長年、土曜日も勤務のあるフルタイムのサラリーマンと兼業でやってきたため
(13冊目の本までは、兼業の状態で出版)、年間40日未満(雨や、法事や
マンションの理事会で、休日全部を撮影に使えるわけではない)の野外取材でも
毎年1冊のペースで本を出し続けるには、当面の企画と無関係な撮影にまで
貴重な時間を使うことはできないというスタンスで臨まねばならなかったので、
今でも野外に出ると、「今日のノルマはこれとあれとそれ」というターゲットを
決めてしまうと、それ以外がなかなか目に入りません。

 幸い、ぼくが自分から出版社に売り込む本の多くは、図鑑や教養ものではなく、
『虫とツーショット』や『虫のくる宿』、『虫・むし・オンステージ!』のような
エンタメ系や、『オオカマキリと同伴出勤』のような笑いを誘うエッセイ本であり、
ぼくが仕事している姿はおそらく遊んでいるように見えるはずで、
作りたい本のベクトルがたまたまそうであったことで、写真家に必要な好奇心まで
失わずに済んでいるのはラッキーだったと言えるかもしれません。
しかしもっと周囲を見回せば、まだ気づいていない面白いことはいっぱいあるはずで、
フリーになった今ではもう、時間は無制限(実感です)にあるのだから、
もっと心に余裕を持ってフィールドに立たなければ、と意識改革をしているところです。

 そんなわけで、写真の使いどころが決まっていない最近の写真というと、
8月11日まで遡ることになりますが、カキノキにいるヒメクロイラガの幼虫写真です。

ヒメクロイラガの幼虫
「ヒメクロイラガの幼虫」

 撮影中のぼくを、助手が撮った写真がこちら。

ヒメクロイラガの幼虫を撮影中
「ヒメクロイラガの幼虫を撮影中」

 初めて行った自然公園(横浜市内)でしたが、草刈りの際には、樹木の周囲の
ツリーサークル内の雑草は残す、という方針のようで、これには好感を持ちました。

刈り残した雑草
「刈り残した雑草」

 草地にいる虫たちが、草刈りの際に、ここを一時的な避難場所にできるからです。
根こそぎ刈ってしまうと逃げ場がどこにもなく、バッタやカマキリは全滅してしまいます。
あとふた回りほど、刈り残しスペースを大きくとってくれたら文句なしだと思いました。
公園管理者の方は、こういうやり方もある、というご参考になれば幸いです。

 書評掲載のお知らせです。
週刊「読書人」という専門紙の10月7日号に、ぼくが書いた
『サイレント・アース -昆虫たちの「沈黙の春」』(NHK出版 グールソン著)
の書評が掲載されています(公共図書館などで目にすることができると思います)。
ぼくは高評価と批判とを半分ずつ書きましたが、
毎日新聞(9月24日朝刊)の書評では、養老孟司先生がこの本の哲学自体を
最後にさらっと否定されているのもうなずける話で、
そういう指摘も目からウロコだなあ…と唸ってしまいました。
さすがに養老先生の視点は、ぼくとは別次元で、非常に勉強になりました。
養老先生には、ぼくの本『虫・むし・オンステージ!』で帯を書いていただいたことが
ありますが、改めて光栄なことだなあ…と思います。

 最後にもう一つ、テレビ番組のお知らせです。
ぼくもレギュラー出演している「荻野目洋子の虫はともだち」の放送予定(Jテレ)、
今週の放送(10月15日(土))は、オオカマキリ(再放送は22日(土))です。
無料アプリ↓を入れることで、
https://newsreleases.jcom.co.jp/file/22083001_print.pdf
放送翌日から1ヶ月間はスマホでいつでもご視聴になれます。
ネコとオオカマキリが出会うと、いったいどうなるのか? どうぞお楽しみに!
 『夏休み最後の思い出づくりに超オススメ。
虫のプロと行く「本気の昆虫採集」が楽しすぎた』
https://magazine.kinto-jp.com/column/kmz20220830.html
というWeb記事が、8月30日にアップされました。

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https://magazine.kinto-jp.com/column/kmz20220830.html

 7月21日に取材を受けたのですが、アップされたのは、なぜか夏休みも終了間近で、
急いでご案内しても仕方がないので、告知もすっかり遅くなってしまいました。
記事の内容自体は、読みごたえのある良記事で、Webへのアップが1ヶ月早ければ、
多くの方に喜ばれたのではないかと思います。まあ、今年のうちに目を通しておいて、
来年の夏に向けての参考にしていただければ…と申し上げるしかありません。

 ぼくもレギュラー出演している「荻野目洋子の虫はともだち」(Jテレ)ですが、
9月3日の第1回放送は大変好評でした。ご視聴ありがとうございます。
リアルタイムで視聴できなくても、無料アプリで1ヶ月間は視聴可能です。
http://moriuenobuo.blog.fc2.com/blog-entry-211.html

その番組のロケ中に、見覚えのない不思議なバッタがいて、鳥取から連れて帰りました。
こんなバッタは、全く心当たりがありません。

不思議なバッタ
「不思議なバッタ」

 帰ってから専門的な図鑑で調べましたが、やはり、該当するものが見つかりません。
バッタの専門家に訊ねましたが、クルマバッタモドキの色彩変異ではないか? とのこと。
なるほど、後翅には確かにそのような弓状の模様があります。
クルマバッタモドキだとすれば、ごく普通種ですが、この色彩のものは、
今後おそらく二度と見ることはないでしょう。なかなかレアな風貌の個体でした。

 最後に、もう1つお知らせ。
「読売KODOMO新聞」の、自然写真家3名によるリレー連載(「ど~ぶつ記」)、
本日9月15日号の記事を担当しています。今月の虫は、季節に合わせて「スズムシ」。
小学生の方は、学校の図書室でも見られると思います。