テレビのオンエアを見てくださったみなさま、ありがとうございました。
番組の公式サイトへ、ぼくのインスタアカウントを訊ねてくださった方が
おられるそうですが、ぼくはインスタグラムはやっていないのです。すみません。
せめて、番組では使わなかったカットを1点、ここにアップしておきますね。

「オオスズメバチと自撮り」
「オオスズメバチと自撮り」

この自撮りは、右手に持ったカメラをこちらに向けて撮っています。
非常に攻撃的なハチなので、いつになく顔がこわばっていますが、
刺されると死ぬこともありますから、みなさんは決して真似をしないでくださいね。
ぼくはちゃんと血液検査をして、刺されてもアナフィラキシー・ショックを
起こす可能性がきわめて低いことを確認した上で撮っています。
実際、スズメバチには過去に2度刺されましたが、命に別状はありませんでした。
なぞの蕁麻疹が出て、2週間ほど消えませんでしたが…。

「松井愛莉さんと自撮り(許可を得てアップしています)」
「松井愛莉さんと自撮り(許可を得てアップしています)」

こちらも同じように顔がこわばっていますが、内心はうれしくて仕方がありません。
感激のあまり胸がいっぱいで息もできず、こんな顔になってしまったというわけです。
番組でやったように、この写真にフキダシでセリフを入れるとしたら、
「時間よ止まれ」で決まりですね。
こんな形のピースサインは世界のどこにもなく、指先からも緊張が伝わってきます(笑)。
松井愛莉さんは本当に素敵な方で、こんなうらぶれたオッサンとの記念写真にも、
気さくに応じていただけました。

「ぼくの自撮りカメラ」
「ぼくの自撮りカメラ」

 番組で使ったぼくの自撮りカメラをご紹介しておきましょう。
カメラはオリンパスのTG-3(現在はTG-5が最新機種で、さらに進化しています)。
アダプターを介して、魚眼コンバーター「魚露目8号」(有限会社フィット製)を
取りつけています。この組み合わせは、虫を撮る人の中ではすっかりスタンダードに
なっており、「魚露目8号」でネット検索すると、たくさんの作例画像が見られます。
同じキーワードに、「TG」と「アダプター」を加えると、アダプターの情報も得られます。

別の話題です。
時系列としては、放送よりもこちらが先となりますが、
「夏休み昆虫研究大賞」の審査が終りました。

「「夏休み昆虫研究大賞」の審査風景」
「「夏休み昆虫研究大賞」の審査風景」

応募作品の水準によっては、「大賞」が空席という年もありますが、
今年度は、大賞らしい大賞が出ました。
入賞者には、そろそろ通知が届くころだと思います。
来月の表彰式でお会いしましょう。

※ 引き続き『虫とツーショット』をよろしくお願いいたします。
『虫とツーショット』写真・文 森上信夫(文一総合出版)
『虫とツーショット』写真・文 森上信夫(文一総合出版)
 テレビ出演のお知らせです。
10月スタートの新番組「沼にハマってきいてみた」に出演します。
10月9日(火)18:55~19:25、NHK-Eテレ。
ぼくと同世代のおじさんには、「Eテレって何?」という方が多いのでは
ないかと思いますが、要するに、教育テレビのことですね。

控室前にて(番組Pさん撮影)
「控室前にて(番組Pさん撮影)」

今回の野外ロケのお相手は、ゼクシィのCMで有名なモデルの松井愛莉さん。
ロケが終った1時間後には、あの「東京ガールズコレクション」に
出演されるという強行スケジュールで、
 (蚊に刺されながら、地べたで虫と戯れていても大丈夫か?)
 (本当に1時間後には、TGCのランウェイを颯爽と歩けるのだろうか?)
とハラハラしましたが、虫が苦手なはずなのに、
実に楽しそうに2時間も虫とつきあってくれました。

ぼくは近くで見る松井さんの美しさに圧倒されてしまい、
目が合った瞬間にセリフが全部飛んでしまって
終始カミカミでしたが、そんなところも含めお楽しみください。

収録スタジオにて
「収録スタジオにて」

スタジオのメインMCは、サバンナの高橋茂雄さんでした。
この本 ↓ のテーマで、スタジオでも出演者全員で虫と戯れます。
ぼくも久々に「虫とツーショット」を撮りました。
お楽しみに!

『虫とツーショット』写真・文 森上信夫(文一総合出版)
『虫とツーショット』 写真・文 森上信夫(文一総合出版)

※ こちらも 『虫とツーショット』の記事です(2015年)。 あわせてお楽しみください。
http://portal.nifty.com/kiji/150812194292_1.htm
 1ヶ月以上もブログを放置してしまいました。すみません。

前回の記事にアップしたタケオオツクツクの写真は、
さっそく「鉄腕DASH」(日本テレビ系)などで使っていただきました。
自分の地元に現れたニューフェイスの外来種ですから、
やはり一番乗りで取材しておかなければいけませんね。

さて、「夏休み昆虫研究大賞」募集のお知らせです
(夏休み前にお知らせしておくべきでしたね…)。
http://nikkonkyo.org/kenkyu-taisyo.html

募集期間は9月末日までで、標本や研究論文だけでなく、
昆虫をテーマにした小説、エッセイ、詩、短歌、俳句、写真、絵画、彫刻、版画など、
応募形式が多様なことが特徴です。
日本昆虫協会による毎年恒例の企画で、長畑直和会長、やくみつる副会長などとともに、
ぼくも今年から審査員を務めます(去年はゲスト審査員でした)。

研究論文や小説などは、相当な時間をかけなければ形になりませんが、
写真などは、この夏に撮った傑作写真があれば、すぐにも応募することができますね。
審査員の顔ぶれからみて、写真作品はぼくが講評を書くことになると思いますが、
昆虫写真だからといって、そこに科学的要素がなければならないということはありません。
絵として美しく完成されていれば、それだけでも十分評価に値します。
科学的な意義づけがあれば、その方が審査団全体の受けはよいと思いますけれど。

いくつか、作例をアップしておきましょう。

オオチャバネセセリの鳥フン吸い戻し行動
「オオチャバネセセリの鳥フン吸い戻し行動」

まずは科学的な意味のある、いわゆる生態写真。
葉の上に落ちた鳥のフンが、もうすっかり乾いて干からびていると、
セセリチョウはお尻から水分を出してフンを溶かし、えさとしてそれを口吻で吸います。
よく知られた行動で、少しも新しい発見はありませんが、図鑑的にしっかり撮れてはいます。
大きな賞は望めませんが、手堅く佳作レベルにすべり込める可能性のある写真です。
世間の写真コンテストでは、審査員がしばしば「これでは、単なる図鑑写真です」などと
講評しますが、図鑑に載るような写真がきちんと撮れたなら、それだけでも大したものです。

キタテハの交尾
「キタテハの交尾」

完全にシルエットになっており、これでは種名もわかりません。
生態写真としては落第点ですが、絵としては美しく完成されています。
これも賞に結びつく写真と言えます。
ただ、ここに書いた「キタテハの交尾」という科学写真のようなタイトルはマイナスで、
もっと表現の意図に即した、雰囲気のあるタイトルが求められますね。
昆虫の種名が何であるかは、サブタイトルとして述べるべきでしょう。

樹液に集まる虫たち
「樹液に集まる虫たち」

強いカブトムシが樹液を独占し、チョウ(サトキマダラヒカゲ)が離れたところから
「順番待ち」をしているという写真で、樹液酒場の序列を表すという意味では
多少は生態写真としての要素もあり、絵としても完成されています。
これぐらい撮れていれば、写真部門で上位入賞を争うことまちがいなしです。

ネコに捕食されるオオカマキリ
「ネコに捕食されるオオカマキリ」

スマホで通りすがりに撮ったような写真でも、こういう瞬間が撮れていれば、
ひとつのスクープ写真で、受賞に値します。ネコにこんな表情を強いることは不可能で、
二度と撮れない写真かもしれません。タイトルをつける際には、
「オオカマキリを捕食するネコ」としないように注意してください。
「夏休み昆虫研究大賞」ですから、あくまで主体は昆虫で、
「ネコに捕食されるオオカマキリ」としないと、賞レースではマイナスになります。
タイトルには撮影者の視座が反映されるので、時に作品の評価を左右することもあります。

「夏休み昆虫研究大賞」には、「審査員賞」というものも存在します。
この賞の賞品は、各審査員が「自腹で購入」しなければならないので、
あまり積極的に出したいものではないのですが、
去年、ゲスト審査員を務めた時に、お一人の方にぼくの審査員賞を出しました。
作品に心から感動してしまうと、自腹とかそういうことはどうでもよくなってしまい、
「大盤ぶるまい」をする審査員もいるようですね(笑)。

賞は重複することもあるので、
「優秀賞で、〇〇審査員賞で、〇〇審査員賞」なんていうトリプル受賞も存在します。
そうなると、表彰式で賞品と賞状を持ち帰るだけでも大変かも?

応募締切まであと半月、小中学生のみなさんの応募をお待ちしています!
 3回連続でこのテーマを扱ってきましたが、今回が最終回です。

 タケオオツクツクというセミは、不思議なことに、
竹林にとことん依存して生きているくせに、成虫・幼虫ともに、
竹に止まる・のぼることに適した体をしていません。

ガラスのようなつるつるの面に止まれるハエのような虫は、
自然界でも当然、つるつるの葉っぱなどに止まることができます。
そのため、脚先には褥盤(じょくばん)など、吸盤の役目を果たす部分を
具えているものですが、タケオオツクツクの脚先には、ほかのセミと同様に
ツメがあるのみで、竹という寄主植物との物理的相性がよくないのです。
幼虫が竹で羽化できないことは前回書きましたが、
成虫も、ツメがかかるのは竹の節(ふし)だけで、
こんな窮屈な止まり方しかできません。

タケオオツクツク・オス(モウソウチクに静止)
「タケオオツクツク・オス(モウソウチクに静止)」
 
両脇をちょっとくすぐったら、すぐに落ちてしまいそうな止まり方ですね。
ただ、昼間になかなか姿を見せないことを考えると、こうした竹の稈(かん)ではなく、
葉が密に繁茂した細い枝先に身を潜めていることが多いのだろうと思います。
細い枝なら、脚で抱え込むこともできますし、比較的楽に止まることができますね。
細い若枝のほうが、おそらく口吻も稈よりは刺さりやすいと思え、
日中は枝先に潜んで吸汁していることが多いと考えてよいのではないかと思います。

細い枝に口吻を刺そうとしている(?)オス
「細い枝に口吻を刺そうとしている(?)オス」

 スタジオで羽化させた雌雄が色づいたので、白バックで撮ってみました。
腹部に大きな共鳴室をもつ、ヒグラシタイプの体形ですね。オスの方が大型です。

タケオオツクツクの全身像(白バック)
「タケオオツクツクの全身像(白バック)」

また、オスの腹弁(発音器のカバー)が極端に大きく、
ここまで大きな腹弁をもつセミは、日本にはほかにいないのではないかと思います。
真横からのカットでも、腹弁がはみ出して見えますね。
少し前に女の子たちの間で流行った「見せポケ」のようです。

タケオオツクツクの腹弁
「タケオオツクツクの腹弁」

 今回、この発生地から最も近距離に住んでいる昆虫カメラマンとして、
多少の義務感もあり、地の利を生かした取材をしましたが、
来シーズンは他県に転居している予定で、もうこの場所に立つこともないでしょう。
わずか2日間だけの取材で、もう少し掘り下げたい思いもありましたが、
いち外来種のために、これ以上時間をかけることはできません。
日本には、在来種だけでも3万種以上の昆虫がいるわけですから。

 最後に、このセミをきっかけに、多くの人が知ることになった
セミの幼虫の「水麻酔」について記しておきましょう。
これを知っておけば、家が少し遠い人でも、連れ帰って羽化観察することができます。
地上に出てきた幼虫を採集したら、ためらわず水を入れた容器に沈めます。
ほどなく動かなくなりますが、死んだわけではありません。「麻酔」がかかったのです。
そのまま水没状態で持ち運び、自宅など目的地に着いたら水から出します。
蘇生して動き出したら、カーテンなどに止まらせて羽化させます。
知人は2時間水没させた幼虫を、ぶじ羽化させたそうです。

水麻酔にかかったタケオオツクツクの幼虫
「水麻酔にかかったタケオオツクツクの幼虫」

いつまでも水没させておかずに、麻酔にかかったら水から出して
小さなタッパーなどに移した方がよいという意見もありますが、
出した以上、いつ麻酔から覚めるかわからないので、
ぼくは水没状態を維持した方がよいのではないかと思っています。
このやり方を知っていれば、家が多少遠くても、自宅で羽化撮影ができますね。

こうした水没への耐性というのは、羽化の準備が整い、土中の浅いところで待機中の
幼虫が激しい雨などで死なないようにするための適応ということでしょうか。
夕立をやりすごすための、積極的な仮死状態と言えるのかもしれませんね。
「2時間の水没もOK」なんて、昔は過剰なスペックに思えたような護身術も、
昨今の殺人的ゲリラ豪雨を見越してセミの祖先がこんな技を身につけたのだとしたら、
その慧眼に対して敬服するほかありません。

「水麻酔」は、かなり前に専門誌で紹介されたことはありましたが、一般書としては、
昨年刊行された新開 孝さんの『はじめて見たよ! セミのなぞ』(少年写真新聞社)
で紹介され、さらに今回のタケオオツクツク騒動で一気に広まった感じです。
タケオオツクツクねらいで集まった人たちがみな「水麻酔」を知っていて驚きました。

タケオオツクツクの羽化のピークはすでに過ぎており、
この夏、これから羽化のために地上に出てくる幼虫に会うことは、
難しいかもしれません。
でも、成虫の鳴き声はまだ当分のあいだ、聞くことができるでしょう。
竹林全体を震わせるような大合唱が、
今日もあの場所で日没の頃に響きわたるはずです。

(※ 今回の記事に書いたタケオオツクツクに関する知見の多くは、
  埼玉昆虫談話会の会報等に寄稿された碓井 徹氏らの論文から情報を得ています。)
 前回の続きです。

 目を皿のようにして見つけ出そうとしたタケオオツクツクの幼虫ですが、
ふと気づけば目の前ですでに羽化が始まっていたり、今にも羽化しそうに
定位(場所を決め、あとは羽化するだけのもう移動できない状態)していたりします。

低所で羽化するタケオオツクツクのメス
「低所で羽化するタケオオツクツクのメス」
 
本種の印象として、何かによじのぼったら、定位するまでが非常に早いと感じました。
ついさっき確かに探したはずの場所で、見ればもう羽化が始まっているのです。
これは、竹の地下茎から栄養を得て育ち、竹林に依存してきた幼虫が、
いざ羽化する段になると、竹林から出なければならない。
竹林には羽化できる場所がない。そんな事情があるからではないかと思いました。

表面がつるつるの竹は、幼虫のツメがかかるところがなく、のぼることができません。
竹林の中で羽化できるところといったら、稈鞘(かんしょう;タケノコ時代の皮)が
腹巻のように竹の根際に残っていた場合に限り、そのザラザラした表面ぐらいのもので、
多くの幼虫は、羽化場所をもとめて竹林から外へ出なければならないのです。
その旅が長ければ、首尾よく何かにのぼれたら定位を急ぐ必要があるでしょうし、
旅がそれほど長くなくても、長年にわたる羽化場所への「渇望」が、
羽化できるなら贅沢は言わない、そこそこの場所でさっさと定位してしまう、
そんなふうに行動を進化させてきたのではないかと思わせられます。

この日は、まだ幼虫を全く見つけられないでいたときに、
ここで継続調査している方からご厚意で頂戴した1匹を含め、
最終的に5匹の幼虫をもち帰ることができました。
しかし、三脚固定で行う羽化の連続撮影に使えるのは1匹だけです。

幼虫がよく動くこと(定位すべきタイミングが過ぎていないと思われる)、
採集した時刻から、間が空きすぎていないこと(羽化の余力が十分あると思われる)、
本種らしさを色濃くもつオス個体であること(出版社はオスの写真を希望しそう)、
などの条件から慎重に1匹を選び、鉢植えの樹木の葉に止まらせました。オスです。
押さえの別個体をメスとし、同じ樹木の別の葉に止まらせます。
こちらは連続撮影はできないものの、サブカメラでときどきスナップすることで、
オスに対するメス、斜めの角度に対する真正面、など、
折々にメインカットを補完するカットを押さえるわけです。

それ以外の幼虫は、カーテンに止まらせて羽化させました。
撮影モデル選抜の際に選ばなかった3匹は、羽化の進行が途中で止まり、
いずれも死ぬ結果となりましたが、カーテン素材は脚のツメがよくかかるため、
本来は室内での羽化観察には適しています。

カーテンで羽化するメス(別の日に採集した個体)
「カーテンで羽化するメス(別の日に採集した個体)」

「定位が早い」ことが撮影を非常に楽にし、幼虫はぼくが誘導した葉裏に
素直に定位しました。アブラゼミなどは、こういう誘導を嫌がり、
何度も何度も羽化場所を変えようとすることがありますが、
それに比べて、タケオオツクツクのなんと素直なこと!

定位とともに、ストロボの電源を入れます。
スタジオでは、常時5灯を焚けるようにしていますが、
今回は同じ樹木で2匹の羽化を同時に撮影するため、5灯すべてを発光させます。
もし、1匹に集中するのであれば、こんなには焚かないほうがよく、
同業者からは、雑なライティングだと言われそうな話ではあります。

タケオオツクツクの羽化(前半)
「タケオオツクツクの羽化(前半)」

定位後は、何もかもアブラゼミの羽化といっしょで、
意外な発見など何もない、ルーティーンの撮影になりました。

(1)定位の前に葉っぱをゆさぶって、羽化場所として適切かどうか、
   最終確認しています。
(2)定位完了。もう移動できません。
(3)胸が割れました。頭より先に胸が出てきます。セミの羽化の一般論として、
   ここは意外な難所です。頭が出ずにそのまま力尽きて死ぬという事故を
   非常によく目にします。
(4)頭がぶじ出ました。はねを抜こうとしています。
(5)はねが抜け、脚が出て、気管(体内に空気を送る通り道)が抜けて
   へその緒のように切れます。
(6)完全にそり返りました。白い糸のように見える切れた気管が、
   ぬけがらからはみ出しています。
(7)お尻を抜くには、起き上がる必要があり、
   脚を使って起き上がろうとしています。
(8)お尻が抜けました。この状態は1秒ぐらいしかないので、
   羽化を連続撮影したい方は、ここを撮りこぼさないようにしましょう。

タケオオツクツクの羽化(後半)
「タケオオツクツクの羽化(後半)」

( 9)頭が上を向くと、はねがどんどん伸びていきます。
(10)本種の特徴である巨大な腹弁(発音器官のカバー)がよく見えます。
(11)この個体は、左右のはねがきれいに同じ速度で伸びています。
   左右で伸長速度が異なる場合もありますが、心配いりません。
(12)はねが完全に伸びました。
(13)はねを屋根型に折り返しました。セミとしてのシルエットの完成です。
   はねはまだ白く濁り、透明感がありません。
(14)はねの濁りがなくなり、完全に透き通りました。脚に力が通い始めました。
(15)脚の力を確かめるかのように、ぬけがらをのぼり、葉に移ります。
(16)ここで落ちつきました。色づくまで、このまま待ちます。

羽化カット2選
「羽化カット2選」

 押さえとして手持ちカメラで並行撮影していたメスが左、
右は三脚撮影(10)のカットのアップです。

セミには、樹幹で羽化するニイニイゼミのようなタイプと、
どんどん枝を移動して行きついた先の「どんづまり」の葉裏などで
羽化するアブラゼミのようなタイプとがいますが、
タケオオツクツクは基本的に「どこでもOK」のセミですね。

このことは、事前に調べてもありましたが、現地でぬけがらのついている場所を観察し、
「どんづまり」もあることを確認した上で、葉裏で羽化を展開させました。
葉裏にぶら下がってもらうと、ストロボを全方位から当てることができ、
羽化のみずみずしい透明感を表現しやすいのです。
幹のような太いもので羽化展開させると、逆光を入れる余地がありません。
庭をもたないマンション住まいの昆虫カメラマンとして、
枝ぶりのよい鉢植えの樹木を、常時いくつもベランダに準備しています。

次回に続きます。